演題

WS09-1

切除企図膵癌に対するGS療法による術前化学療法

[演者] 元井 冬彦:1
[著者] 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

膵局所に限局し,主要大血管に接触しない(Resectable)あるいは門脈系静脈への浸潤のみ(BR-PV)は,技術的にR0切除が可能と考えられ,切除を企図した治療が行われる.近年の術後補助化学療法の進歩は,切除されて術後回復した膵癌患者の予後を改善したが,一方で根治切除と術後補助化学療法という最善の治療を享受できる患者は,切除企図膵癌の約半数程度に過ぎず,最善治療が受療できない患者の予後は不良である.術前化学療法(NAC)は有力な代替治療戦略であり,最善治療を受ける患者集団を最大化することを目指している.
2001-2016年に当科で,治療前診断ResectableもしくはBR-PVとされ,手術先行(Upfront-Surgery; U-S, n=263)もしくはGemcitabine-S1療法によるNAC(NAC-GS, n=73)を企図された膵癌を対象に,Intention-to-treat(ITT)及び on protocol解析で生存比較を行った. NAC-GS群にはBR-PV症例が55%で,U-S群(37%)より有意に多く含まれていた(p=0.012).NAC-GS群の生存期間中央値33.9ヶ月で,U-S群(21.0ヶ月)に比べITT解析で有意に延長していた (p=0.028, Log-rank test).次に,ITT解析対象から,非切除, M1(LYM, CY), 高齢(80歳以上), 在院死亡, 術後長期在院(60日以上), 早期再発(60日以内)等をOff-protocol cohortとし,術後補助療法適格例(On-protocol cohort)と層別化した.U-S群, NAC-GS群ともに,On-protocol cohortの生存率は有意に高かったが(p<0.0001),On-protocol同士の比較でも,NAC-GS群で生存率が高い傾向を認めた(p=0.12).On-protocol症例の割合は,NAC-GS群71%で,U-S群(56%)に比べ有意に多かった(P=0.022).
現在進行中のPREP-02/JSAP05試験(UMIN00009634)は,切除可能膵癌を対象としてNAC-GSのU-Sに対する生存延長効果を検証する,ランダム化比較第II/III相試験である.日本全国の47施設から3年間に364例の症例が登録され,2016年1月に症例集積を終了している.本試験により,標準的な術後補助化学療法にNAC-GSを加える治療戦略の有効性が検証される.
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