演題

呼吸機能から見た鏡視下食道癌手術における側臥位・腹臥位の比較

[演者] 尾嶋 仁:1
[著者] 小澤 大牾:1, 木村 明春:1, 小川 敦:1, 持田 泰:1, 深井 康幸:1
1:群馬県立がんセンター 消化器外科

群馬県立がんセンターでは,2009年6月から鏡視下食道癌手術を開始し,2016年12月を133例施行している.腹部操作は鏡視下(HALS)で行っている.手術症例は全例鏡視下で行っており定型化し標準的術式となっている.2015年12月までは左側臥位(分離肺換気8mmHg, 人工気胸,5 port)で,2016年1月より腹臥位(両肺換気,8mmHg 人工気胸,4 port)で行っており,開始当初よりリハビリプログラムを作成しチーム医療を行っている.2015年より周術期に呼吸機能検査を行っており,左側臥位(L群)と腹臥位(P群)で周術期(術前,術後第1.2.4.7.14病日,退院時)の呼吸機能の比較を行った.対象症例数,平均年齢,男女比は,L群:17例,67.7歳,11 : 6例 P群:19例,65.2歳,14 : 5例.L群:P群で,胸部操作手術時間( 190.9 min : 210.6 min ),出血量(299.8 ml : 200.3 ml),術後在院日数(23.6 days : 20.8 days),胸部リンパ節郭清個数(18.6個:19.9 個)は両群間で有意差を認めなかった.Clavien-Dindo分類 grade 2以上の術後肺炎は両群ともに認めなかった.%VC,FEV1%とも両群で術後第2病日に低下のピークがあり徐々に回復した.%VCは,術後第1,2病日にP群で有意な低下を認めた.FEV1%では両群で差は認めなかった.退院時の回復率(退院時/術前値)は,L群で%VC:72.4%,FEV1% : 87.3%,P群で%VC : 63.0%,FEV1% : 91.3%であった.FEV1%は回復率が高く両群間で差は認めなかった.%VCは術前の70%前後の回復でP群のほうが回復は悪かった.術後の呼吸機能変化は,拘束性障害が第2病日ピークで認め,P群ではL群より障害が強かった.%VCの変化は,体位,換気法(片肺換気,両肺換気)に関係している可能性が強いが更に検討が必要である.我々は,周術期呼吸器リハビリプログラムで第1病日より呼吸訓練,歩行訓練を行っている.体位の違いに関係なく手術の低侵襲性とリハビリ効果で第2病日での呼吸機能の変化は第4病日以降で差を認めず合併症の軽減につながっていると思われる.
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