演題

当院におけるHALS胃管作成,後縦隔経路/頸部三角吻合による再建術の定型化

[演者] 大坪 大:1
[著者] 今西 達也:1, 安田 貴志:1, 大山 正人:1, 杉山 宏和:1, 大村 典子:1, 柿木 啓太郎:1, 千堂 宏義:1, 藤野 泰宏:1, 富永 正寛:1
1:兵庫県立がんセンター 消化器外科

【はじめに】食道癌手術における胸腔鏡下食道切除ならびに腹腔鏡下再建術は,手術侵襲の軽減に寄与し,広く普及している.標準的胃管再建においては,当院では腹臥位胸腔鏡下食道切除術の導入に続き2010年より用手補助腹腔鏡下(Hand Assisted Laparoscopic Surgery ; HALS)胃管作成再建術を導入し,現在まで腹臥位胸腔鏡下食道切除とともに標準としている.HALSを用いた体外胃管作成は,体壁破壊の程度と整容性では完全鏡視下に劣るが,挙上性の確保などの点で開腹操作に準じたメリットを有するものと考えている.
【手技】剣状突起2~3横指下より,上腹部に小開腹をおきウーンドリトラクターを装着,ダブルグラブ法とし臍左下にカメラポート,左右側腹部にポート1本ずつを留置して気腹を行なう.左右大網動脈のアーケードから 3cm 離したラインで大網を切離,網嚢を開放し,横隔膜脚左側まで血管処理ならびに剥離を連続する.その後小網の切離,左胃動脈周囲から必要に応じ膵上縁郭清を追加し,横隔膜脚右側より腹部食道全周剥離へ続ける.胃管挙上に際して必要があれば,小開腹創からKocher授動などの追加操作を追加する.食道・胃を体外へ引き出してから,胃を引き伸ばし胃角小弯からまずリニアステイプラー45mmを2回,のち60mmを 5~6 回使用して穹窿部へ至り,3cm 幅の大弯側細径胃管を作成する.頸部にて郭清ののち胃管を後縦隔経路で挙上.吻合は頸部食道との三角吻合とし,リニアステイプラーを用い後壁は内翻,前壁は外翻 2 回で縫合,45mm 3回または口径差など考慮して後壁のみ60mmを使用する.後壁には全層,前壁側外翻部は漿膜筋層縫合を適宜追加している.
【成績】2010年6月からの2016年12月までの間に当科にて食道切除再建術症例,全275例のうち 139 例に対しこの手技を施行.CRT後salvage例を3例含むが,合併症として縫合不全を11例(7.9%)に認めた.導入前期の2013年までの結果(58例)と手技の安定してきた2014年後以降(81例)の後期との比較では,前期が6例(10.3%)であったが後期は5例(6.2%)と改善を認めた.また吻合部狭窄については全体で40例(28.7%)と比較的高率であった.ただし前期では41.3%であったが後期では19.8%と改善傾向がみられた.【まとめ】食道切除術におけるHALS胃管作成,後縦隔経路頸部三角吻合による再建術は安全に行える手技である.定型化により結果は安定してきているが,更なる改善が期待される.
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