演題

肝硬変を背景に持つ患者に対する胃癌手術の安全性

[演者] 小林 直:1
[著者] 春田 周宇介:1, 田中 毅:1, 大倉 遊:1, 本田 文:1, 上野 正紀:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

【背景】
肝硬変症を背景に持つ患者に対する胃癌手術は術後合併症や手術関連死亡の頻度が高いという報告があり,手術適応は慎重に検討する必要がある.今回,2006年から2016年に当院で施行した肝硬変患者に対する胃癌手術の短期成績を調査し,安全性を検討した.
【方法】
2006年から2016年に当院で施行した肝硬変患者に対する胃癌手術22例の患者背景,術後短期成績を調査した.
【結果】
患者年齢は66(39-83)歳,男性17例,女性5例,肝硬変の原因は,C型肝炎:9例,B型肝炎:3例,アルコール:4例,非アルコール性脂肪肝:5例,自己免疫性肝炎:1例であった.Child-Pugh分類でA:13例,B:9例であった.食道静脈瘤を11例に認め,門脈圧亢進症を14例に認めた.術式は局所切除:3例,幽門側胃切除:11例,胃全摘:3例,噴門側胃切除:3例,残胃全摘:2例であった.出血量は365(少量-2127)ml,手術時間は275(128-567)分であった.郭清はD2:1例,D1+:3例,D1:15例で多くの症例で8aや12aの郭清を省略した.
入院期間は19(7-330)日,合併症を9例(41%)に認めた. 手術関連死亡は1例(4.5%)であった.合併症はChild-Pugh分類でAの患者と比較してBの患者に有意に多かった.(23.0% vs 66.7%, A vs B P=0.04),また食道静脈瘤を含む門脈圧亢進症を伴う患者に多くの合併症を認めた(57.1% vs 12.5% P=0.04).GradeⅢ以上の重篤な合併症を3(13.6%)例に認め,いずれもChild-Pugh分類でB,かつ門脈圧亢進症を伴う患者であった.
【考察】
肝硬変患者に対する胃癌手術は,術後合併症率が高く,致死的になる可能性がある.術後腹水や吻合部出血,縫合不全といった合併症の原因に,手術における郭清や門脈圧亢進症が大きく影響していると考えられる.Child-Pugh分類でBの患者や,門脈圧亢進症を合併する患者の手術適応は慎重に検討する必要がある.
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