演題

胃癌症例における脾門部リンパ節転移の検討

[演者] 森 至弘:1,2
[著者] 江原 一尚:1, 山田 達也:1, 新井 修:1, 影山 優美子:1, 岡 大嗣:1, 福田 俊:1, 川島 吉之:1, 坂本 裕彦:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科, 2:医誠会病院 消化器外科

【はじめに】近年では脾温存脾門部リンパ節郭清として,主に腹側の脾門部リンパ節を郭清する手技が行われている.JCOG0110試験において,大弯にかからない上部胃癌に対して脾摘は行うべきではないと結論づけられたが,一方,大弯にかかる上部進行胃癌に関しては脾摘を伴う脾門部リンパ節郭清の対象となっている.その中で,脾温存脾門部リンパ節郭清の位置づけを検討するため,脾門部リンパ節転移の形式について検討した.
【対象と方法】2014年4月から2016年12月までに当科において大弯にかかる上部進行胃癌に対し脾摘を伴う胃全摘を行った症例は18例.No.10LNのうち,脾動静脈腹側のリンパ節をNo.10aLN,背側のリンパ節をNo.10bLNとし,それぞれの転移頻度について検討した.食道胃接合部癌のうち,E=G,GE,Gの症例は検討に含めた.
【結果】年齢は42~79歳(中央値66歳).男性13例,女性5例.cT因子はT2:1例,T3:3例,T4a:12例,T4b:2例.cN因子はN0:5例,N1:6例,N2:6例,N3a:1例.cStageはIB:1例,IIA:1例,IIB:4例,IIIA:5例,IIIB:4例,IIIC:3例.主占拠部位はU:10例,M:7例,L:1例,またGre:8例,Less:1例,Circ:9例.食道胃接合部癌は2例,いずれもGEであった.術前画像評価にてNo.10LN転移が疑われていた症例はなかった.
組織型はtub2:4例,por1:2例,por2:12例.腫瘍径は23~165mm(中央値105mm).pT因子はT2:2例,T3:4例,T4a:10例,T4b:2例.pN因子はN0:3例,N1:2例,N2:3例,N3a:6例,N3b:4例.pStageはIB:1例,IIA:2例,IIB:1例,IIIA:1例,IIIB:1例,IIIC:4例,IV:8例.M因子はCY1:4例,P1:1例,LYM:3例.
No.10LN転移陽性症例は6例.No.10aLNのみ転移を認めた症例が3例,観察期間は247日,281日,529日,転機はそれぞれ無再発生存,再発生存(多発皮膚転移)および無再発生存.No.10bLNのみ転移を認めた症例が1例,観察期間は189日,無再発生存中.No.10aLN,10bLN共に転移を認めた症例が2例,観察期間は94日および442日,転機はそれぞれ無再発生存および原病死(腹膜播種再発).腫瘍の局在,周在性,cT因子,cN因子,cStage,組織型,腫瘍長径とNo.10LN,No.10aLN,No.10bLNの転移の有無の関連を検討したが,有意なものはなかった.
【結語】No.10bLNにのみ転移を認めた症例もあり,脾温存脾門部リンパ節郭清の適応に関してはさらなる検討が必要である.
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