演題

腹腔鏡下幽門側胃切除術後の小さな残胃に対する体腔内残胃空腸吻合の工夫

[演者] 加藤 敬二:1
[著者] 中川 正敏:1, 吉留 博之:1, 中村 純一:1, 沖 彰:1, 新村 兼康:1, 芝﨑 秀儒:1, 佐々木 滋:1, 岡田 幸士:1
1:さいたま赤十字病院 外科

我々は胃上部の早期癌に対する術式選択において,切除マージンが確保されれば,噴門を温存することが望ましいと考えている.そのため,胃を高位で切除する幽門側胃切除術を選択する機会がある.当科では腹腔鏡下幽門側胃切除術(LDG)後の再建は,β再建法によるRoux-en-Y再建を標準としているが,残胃が小さい場合にはoverlap法によるRoux-en-Y再建を行っている.小さな残胃に対する体腔内残胃空腸吻合の工夫について述べる.

【手技】体位は開脚頭高位,5ポート+肝圧排鈎で手術を行う.胃を高位で切除する場合には,手術前にクリップによるマーキングを行い,術中内視鏡の観察下に胃を切除する.
Overlap法では,先にY脚吻合を行う.Treitz靱帯から20~25cmの空腸が残胃に届くことを確認したうえで,標本摘出に利用した臍の創から空腸を体外に出し,linear staplerにて空腸を切離する.挙上空腸の断端から26cmの距離を取り,linear staplerにて空腸空腸側々吻合を行う.腸間膜の間隙を閉鎖する.挙上空腸の断端から6cmの位置に縫合器挿入口を開けて,空腸を腹腔内に戻し,再気腹する.
残胃の大彎に縫合器挿入口をできるだけ小さく開ける.一度linear staplerを胃内に挿入し,本番の吻合時に挿入しやすくする.linear staplerを挙上空腸に挿入したのち残胃に挿入し,残胃空腸側々吻合を行う.この際助手は胃脾間膜を腹側に挙上し,術者が残胃大彎のやや後壁に向かってlinear staplerを挿入できるように補助する.縫合器挿入口の閉鎖はbarbed sutureを用いて,全層一層連続縫合を行う.空腸の流出路が狭窄しないよう,腸管の長軸に直交する方向に縫合を行う.Petersen's spaceを閉鎖し,再建を終了する.

【成績】2015年1月から2016年11月まで,9例のLDG症例にoverlap法によるRoux-en-Y再建を行った.再建時間(再建開始からPetersen's space閉鎖まで)は平均59分であった.再建に関連する合併症は,1例に内ヘルニアを認めた.この症例はPetersen's spaceの閉鎖が不十分であった.縫合不全,吻合部狭窄は認めなかった.
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