演題

StageⅡ,Ⅲ胃癌に対する術後補助化学療法の現状~S-1 3週レジメン(2週投与1週休薬)スケジュールの妥当性~

[演者] 小川 光一:1
[著者] 明石 義正:1, 大原 佑介:1, 久倉 勝治:1, 榎本 剛史:1, 倉田 昌直:1, 小田 竜也:1, 大河内 信弘:1
1:筑波大学附属病院 消化器外科

【目的】
ACTS-GC以降,本邦ではStageⅡ,Ⅲ胃癌に対する術後補助化学療法(AC)はS-1内服6週レジメン(4週投与2週休薬),1年間(8コース)が標準治療とされている.しかし臨床試験での完遂率は66%であり,実臨床では術後早期の投与は困難なことも多く,減量やスケジュール短縮などが行われる.S-1 3週レジメン(2週投与1週休薬)は6週レジメンと比べ服薬コンプライアンスに優れ薬剤総投与量は変わらないため,同等な効果を見込んで用いられることが多い.当科では服薬コンプライアンスを重視してS-1 3週レジメンを用いてきた.今回治療成績を振り返り,その妥当性を検討する.
【方法】
2006年7月~2014年12月に当科で根治切除が行われたStageⅡ,Ⅲ初発胃癌(第14版に準拠,T3N0およびT1症例を除く)122例を対象とし,AC施行状況および治療成績を後方視的に解析した.
【結果】
1 ACは79例(64.8%)で行われており,Stage別の実施率はⅡA/ ⅡB/ ⅢA/ ⅢB/ ⅢC = 30/ 63.9/ 73.3/ 80.8/ 50 (%)であった.S-1単剤72例(S1群),S-1+CDDP6例,UFT単剤1例であった.
2 S1群の年齢中央値は66歳,男性53人(73.6%),術式はTG/ DG/ PG=29例(40.3%)/ 46(63.9)/ 5(6.9),未分化型43例(59.7%),StageⅡ/ Ⅲ=26例(36.1%)/ 46(63.9)であった.観察期間中央値は4.1年.S-1内服開始までの期間は平均7.6週,6週以内に開始が23例(31.9%)であった.完遂率は73.6%(53例),標準量で2投1休 16コース完遂時の投与量を100%としたrelative dose intensity (RDI)は平均81.8%であった.非完遂理由は再発6例,他病増悪2例,有害事象4例,その他7例.再発は19例(26.4%)でみられ,平均再発期間は14.1ヶ月,再発形式はリンパ節5例(6.9%),腹膜9(12.5),血行性5(6.9)であった.
3 S1群とNC群の3yOSはそれぞれ78.6%と56.4%(HR0.37,p<0.01),3yRFSは68.6%と38.5%(HR0.38,p<0.01)でありS1群で予後良好であった.S1群をStage別で見ると,3yOSはStageⅡ91.8%,StageⅢ70.3%で,3yRFSはStageⅡ87.9%,StageⅢ57.6%であった.
4 S1群におけるサブグループ解析では年齢(>70歳),StageⅢ,PS(≧1),RDI(<70%)が予後不良因子であった.
【考察】
当院で施行したS-1 3週レジメンは完遂率73.6%,RDI81.8%と服薬コンプライアンスが比較的良好であった.AC未施行例との比較で3yOSが22.2%高く,ACTS-GC試験との直接比較は困難であるが,その治療効果は6週レジメンと比べて大きく劣るものではないと考えられ,標準レジメンが投与できない症例に対して許容できる治療方法と考える.
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