演題

Stage II,III症例に対する術後S- 1補助化学療法の治療成績

[演者] 加納 陽介:1
[著者] 大橋 学:1, 比企 直樹:1, 井田 智:1, 熊谷 厚志:1, 布部 創也:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】ACTS-GCの結果から本邦のpStage II,pStage IIIにおける術後補助化学療法はS-1の1年間内服が標準治療とされているが,pStage IIIに対しては効果が不十分であるという指摘もある.一方で,2010年3月より胃癌取り扱い規約14版が適応されているが,新規約におけるS-1が投与されたpStage II,III症例の治療成績は明らかではない.今後新たな治療法を開発するにあたり,S-1による治療が行われたpStage II,III症例の治療成績を明らかにすることは重要である.今回,当院におけるS-1が投与された症例の治療成績を分析し,今後の治療法開発について考察した.
【患者・方法】2008年から2012年までにpStage II,III症例のうち術後補助療法としてS-1単独療法を施行された患者は425例であった.これらについて患者背景,化学療法完遂率,生存率を分析した.組織型が特殊型症例,同時性重複癌症例,術前化学療法施行症例は除外した.観察期間中央値は58(5-99)カ月であった.
【結果】性別は,男性293例(67.4%),女性142例(32.6%),年齢中央値は,63(24-84)歳であった.術式は,幽門側胃切除242例(55.6%),胃全摘176例(40.5%),その他17例(3.9%),郭清度は,D1+ 32例(7.4%),D2 403例(92.6%)であった.ステージ別の患者数はpStage IIA 43例(9.9%),IIB 130例(29.9%),IIIA 85例(19.5%),IIIB 84例(19.3%),IIIC 93例(21.4%)であった. S-1の完遂率は68%であった.5年生存率は,pStage IIA 90.2%,IIB 85.6%,IIIA 84.3%,IIIB 70.1%,IIIC 50.5%,5年無再発生存率は,pStage IIA 90.2%,IIB 81.3%,IIIA 76.2%,IIIB 66.3%,IIIC 42.0%であった.再発は119例(27.4%)に認め,再発形式は腹膜播種が最も多く52例であった.
【考察】S-1単剤療法の完遂率はACTS-GCと同等で,実臨床において問題なく施行可能な補助化学療法と考えられる.pStage IIの5年生存率,無再発生存率は良好でS-1単剤の補助化学療法で十分な予後が期待でき,今後は投与期間の短縮が考慮されている.第13版におけるpStage IIIの治療効果は不十分とされたが,第14版におけるIIIAの成績は比較的良好であり,S-1単剤による治療でよい可能性がある.一方でIIICは予後不良であり,IIIBも不十分である.新しい治療戦略の対象としてIIIB,IIICが妥当であると考えられる.
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