演題

5-aminolevulinic acidを用いたphotodynamic diagnosisにより十二指腸癌の腹膜播種を診断できた一例

[演者] 原田 恭一:1
[著者] 村山 康利:1, 有田 智洋:1, 小菅 敏幸:1, 森村 玲:1, 小松 周平:1, 塩﨑 敦:1, 生駒 久視:1, 栗生 宜明:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学消化器外科学教室

【緒言】十二指腸癌は消化管悪性腫瘍の中で約3%以下と稀である.切除可能な場合は,発生部位や進行度により内視鏡的切除術や部分切除術,膵頭十二指腸切除術が選択される.十二指腸癌ではStage I,II,III,IVの5年生存率が70%,60%,33%,17%との報告もあり,手術侵襲を鑑みると,リンパ節や腹膜播種などへの転移の有無を術前・術中に診断することが治療方針の選択に重要となる.病期診断技術の進歩著しい現代においても,術前に診断できなかった腹膜播種や肝転移などが術中に判明することがある.
5- aminolevulinic acid(5-ALA)は天然アミノ酸の1種で,それ自体は光感受性を有していないが,代謝過程で産生されるプロトポルフィリンIX(PpIX)は癌特異的に集積し光感受性を有する.PpIXは405nmにピークを持つ青色光の励起により,635nmにピークを持つ赤色光の蛍光を示す.この性質を用いた癌蛍光診断はphotodynamic diagnosis(PDD)と呼ばれ,脳神経外科や泌尿器科などの分野で用いられており高い有用性が報告されているが,消化器癌への有用性は確立していない.これまでに我々は,胃癌・大腸癌のリンパ節転移や腹膜播種,大腸癌の肝転移などに対する5-ALAを用いたPDD(ALA-PDD)の有用性を報告してきた.
今回,我々は十二指腸癌の腹膜播種結節に対しALA-PDDで蛍光を認めた症例を経験したので報告する.
【症例】74歳男性.嘔吐に対し腹部CTを施行され十二指腸狭窄を指摘.上部消化管内視鏡検査で十二指腸4th portionに2型腫瘍を認め,生検でtub1検出し手術目的に当科紹介となった.本症例では造影CTで腸間膜内に腹膜播種を疑う結節を指摘されており,縮小手術も念頭に手術を計画した.
【方法】手術3時間前に5-ALA(20mg/kg≦1000mg)を経口投与.手術は審査腹腔鏡を先行しD-LIGHT C system (Karl Storz GmbH & Co., Tuttlingen, Germany)を用いて蛍光観察を行った.
【結果】術前に文書で同意を得た.壁側腹膜や腸間膜の多発した腹膜播種を疑う結節に蛍光を認めた.蛍光スペクトルもPpIXと一致,病理学的にも十二指腸癌の転移との診断を得た.胃空腸バイパス術を施行し閉腹した.明らかな有害事象は認めなかった.
【結語】ALA-PDDは簡便で迅速な診断方法であり,十二指腸癌の腹膜播種に対する術中迅速診断に有用であると考える.
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