演題

WS08-7

先天性胆管拡張症に対する腹腔鏡下肝外胆管切除・肝管空腸吻合術

[演者] 森川 孝則:1
[著者] 大塚 英郎:1, 石田 晶玄:1, 高舘 達之:1, 水間 正道:1, 中川 圭:1, 林 洋毅:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

[背景] 腹腔鏡下胆嚢摘出術に始まった胆道の腹腔鏡下手術は,腹腔鏡下胆管截石術にて発展し,2016年に腹腔鏡下総肝管拡張症手術が保険収載されるに至った.先天性胆管拡張症は若年女性に多く,腹腔鏡下肝外胆管切除・肝管空腸吻合術は発癌リスクを低下させることが主目的であることから,われわれは,本術式が整容性・低侵襲性と腫瘍学的妥当性のバランスが良好な術式と判断し,2011年よりその導入を開始している.今回,その手術手技の要点を供覧し,短期成績を報告する.[手術手技] 手術適応は戸谷I型の先天性胆道拡張症とし,戸谷IV-A型は適応外としている.患者体位は開脚位,術者は患者左側に立ち5ポートにて手術を開始する.Calot三角を剥離し胆嚢動脈を切離した後,総肝管をテーピングする.Organ retractor にて胆嚢を牽引,術野を展開し,可及的に膵内胆管の剥離を行い,術中胆道造影にて胆管走行を確認する.総肝管を切離した後,さらに膵内胆管を剥離し,合流部付近で結紮切離している.再建は臍部創にてY吻合を行い,後結腸経路にて空腸を挙上し,肝管空腸吻合を行う.肝管空腸吻合は連続一層縫合を行っているが,肝管径の細い症例ではlost stentを挿入し結節縫合にて吻合している. [結果] 2011年9月より倫理委員会の承認を得て腹腔鏡下肝外胆管切除術を,2012年5月からはロボット支援腹腔鏡下肝外胆管切除術を開始した.現在までに11例に対し同術式を行っており(腹腔鏡下6例,ロボット支援腹腔鏡下:5例),フォローアップ期間中央値は35.6ヶ月であった.周術期因子では,手術時間中央値430 (316-615)分,出血量中央値10 (3-140) mL,C-D Grade IIIa以上の術後合併症を2例に認め,1例はY吻合部からの出血で吻合部切除再吻合を行っている.同時期に開腹肝外胆管切除術を施行した7例と比較すると,周術期成績では腹腔鏡群の出血量が有意に少なく(p<0.001),術後在院日数が短い傾向にあった(p=0.083). [結語]先天性胆道拡張症に対する腹腔鏡下肝外胆管切除術は,適切な症例選択と手術手技を用いれば,開腹術より低侵襲かつ有用な術式と考えられる.しかしながら,手技的に困難な症例もあり,今後の技術改善も必要である.また,先天性胆道拡張症は長期的な経過観察を要する疾患であり,本術式の評価のためには長期予後の検討も必要と考えられる.
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