演題

超高齢者に発症した右胃大網動脈瘤破裂の1例

[演者] 藤田 敏忠:1
[著者] 山中 康詩:1, 上原 悠也:1, 貝塚 真知子:1, 小林 義典:1, 山田 武男:1, 濱口 實:1
1:組合立諏訪中央病院 外科

症例は98歳男性.様子がおかしいを主訴に当院救急外来を受診.来院時血圧54/35mmHgでHb5.1g/dlと著明な貧血を認めた.腹部単純CTで多量の腹水と胃周囲に血腫と思われる高吸収域を認め,精査目的で入院となった.入院後輸血により循環動態は安定した.入院3日目の造影CTで右胃大網動脈瘤を認め,動脈瘤破裂による腹腔内出血と診断した.他の部位には動脈瘤は認めなかった.全身状態は安定しており腎盂腎炎を併発していた為,待機的手術の方針とした.しかし入院4日目に腹痛を訴え再度ショック状態となり,緊急開腹手術をおこなった.手術は胃大弯側の動脈瘤を血腫とともに切除した.血腫と合わせて出血量4700mlであった.術後経過は良好であったが,入院9日目に再度腹痛の訴えとともにショック状態となり,造影CTで多量の腹水と胃小弯側に造影剤の血管外漏出像を認め再手術を施行した.術中胃小弯側の血腫から出血を認め幽門側胃切除を施行した.術中の出血量は1900mlであった.病理組織診断では再出血の原因は特定できなかった.術後腎盂腎炎の再燃を認めたが,そのほかの経過は良好で生存中である.腹部内臓動脈瘤のなかで,胃大網動脈瘤の頻度は0.4%と非常に稀である.一般に破裂した場合の予後は不良とされ,多くは出血性ショックで緊急手術が行われる.しかしなかには自然止血され,発症から数日経過して待機的にIVRで治療介入した報告もあるが,今回我々は待機手術を予定するも,再出血により出血性ショックをきたし,緊急手術を要した超高齢者に発症した胃大網動脈瘤破裂の1救命例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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