演題

術前に十二指腸憩室からの落下を確認しえた仮性腸石によるイレウスの1例

[演者] 朝蔭 直樹:1
[著者] 河野 通貴:1, 佐々木 純一:1, 大亀 浩久:1, 波多野 稔:1, 河村 裕:1, 西田 勝則:1
1:津田沼中央総合病院 外科

症例は66歳,女性.1週間前から心窩部痛があり上部消化管内視鏡検査を施行した.十二指腸下行部の壁肥厚と内壁から管腔内へドーム状に突出する茶褐色の異物が観察された.CT検査で膵頭部付近に含気を伴う3cmほどの,超音波検査ではacoustic shadowを伴う異物を認めたが,胆管拡張は認めなかった.総胆管結石嵌頓を疑い緊急入院とし,ERCPを施行した.正常乳頭の口側に炎症を伴う巨大な傍乳頭憩室を認めたが異物(結石)は消失していた.胆管・胆嚢は正常に造影され十二指腸との異常交通は認めなかった.しかし翌日から頻回の嘔吐が出現し,niveauを認めたためイレウス管を挿入して保存的加療を開始した.CT検査で小腸内に経時的に移動する含気を伴う異物を,またイレウス管造影で蟹爪様の陰影欠損を認めた.以上より十二指腸憩室内結石落下による腸石イレウスと診断した.自然排石は稀であり,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.摘出した腸石は3×5cm大で,成分判定不能の仮性腸石であった.有効とされる胃石同様,腸石に対するコーラ溶解療法の報告もある.術後,腸石片をコカコーラ,キリンレモン,オキシドールに15時間浸潤させ経時的に観察したが軟化のみで崩壊はしなかった.十二指腸憩室内結石落下による腸石イレウスの報告は極めて少ない.今回結石落下の過程を観察するという貴重な経験をしたので文献的考察を加え報告する.
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