演題

高度貧血の原因となった胃ポリポイド腫瘍に対し,内視鏡下胃内手術にて治癒しえた1例

[演者] 浅見 敬一:1
[著者] 牧野 浩司:1, 吉田 寛:1, 丸山 弘:1, 横山 正:1, 平方 敦史:1, 上田 純志:1, 高田 英志:1, 関 奈紀:1, 内田 英二:2
1:日本医科大学多摩永山病院 消化器外科・乳腺外科・一般外科, 2:日本医科大学付属病院 消化器外科

【はじめに】今回我々は高度貧血の原因となった胃ポリポイド腫瘍に対し,内視鏡下胃内手術にて治癒しえた1例を経験したので報告する.
【症例】75歳男性.併存合併症として,糖尿病・狭心症・慢性腎不全があり,3年前に直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除術,ハイリスクであったため横行結腸に双行式人工肛門を造設した.直腸癌の再発はなく,術後半年後に人工肛門閉鎖術を施行し,糖尿病・狭心症・慢性腎不全は当院内科でフォローされていた.呼吸困難・全身倦怠感を主訴に救急搬送され,来院時Hb 4.5と高度貧血を認めた.貧血精査にて上部・下部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部前壁に6cm大のポリポイド腫瘍を認め,出血源と考えられた.入院後,輸血・PPI投与・抗血小板薬中止にて加療し,胃腫瘍の生検を施行したところGroup1(polyp)であった.良性であったが,この胃腫瘍が貧血の原因と考えられたため,摘出の方針とした.第一に内視鏡下ポリペクトミーを検討したが,ポリポイド腫瘍の茎が太く,出血時の対処に困難が予想された.腹腔鏡下胃部分切除術を検討したが,人工肛門造設・閉鎖後であり,腹部超音波検査にて臍部と胃周囲に広範囲に癒着を認めたため,トロッカー挿入,胃の癒着剥離に困難が予想された.そこで,内視鏡下胃内手術の方針とした.
【方法】仰臥位・全身麻酔で手術を開始し,経鼻内視鏡にて腫瘍の位置,胃内手術のためにデバイスを挿入するトロッカーの位置を確認した.腫瘍から十分な距離がとれるように,またCTや超音波で癒着の無い胃体中部前壁に12mmポートを挿入した.ポートは胃瘻造設の手順に基づき,胃壁を2点で吊り上げ,その間から挿入した.ポートよりエンドカッター(ETS 35mm)を挿入し,ポリペクトミーの要領で,茎部で腫瘍を切除した.出血はなく,EZパースで回収した.ポート挿入孔は胃瘻とし,術後,貧血の進行はなく経過良好であった.術後第3病日より食事を開始し,術後第10病日で退院となった.術後の上部消化管内視鏡検査にて出血のないことを確認した.術後第14病日に胃瘻を抜去した.
【まとめ】今回,貧血の原因となった胃ポリポイド腫瘍に対し,全身麻酔下に,前手術の癒着の影響を回避した,内視鏡下胃内手術を施行し切除しえた1例を経験した.若干の文献的考察を踏まえ報告する.
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