演題

WS08-6

腹腔鏡下胆道拡張症手術の要点と当科の成績

[演者] 森 泰寿:1
[著者] 大塚 隆生:1, 仲田 興平:1, 宮坂 義浩:1, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学

先天性胆道拡張症の疾患頻度は高くはないが,腹腔鏡下手術のよい適応であり今後より一層の手技の標準化が望まれる.術式の概要は発癌の母地となる拡張胆管切除と胆嚢摘出,および膵管胆管の分流のための胆道再建であり,腹腔鏡下手術手技の中では比較的難易度の高いものである.今回当科で行っている手術手技の要点を供覧するとともに,当科で施行した腹腔鏡下胆道拡張症手術37例の成績を検討する.腹腔鏡下胃切除術に準じて体位は開脚位とし,5トロッカーで手術を行う.まず胆嚢を肝床より遊離し,膵上縁で胆管を周囲組織より剥離し,その後膵内胆管を膵から剥離していきnarrow segmentで切離する.続いて胆管を肝門に向けて遊離していき,総肝管を切離して胆管切除を完了する.再建はRoux-en-Y法式に空腸を挙上し,肝管空腸吻合を4-0吸収性モノフィラメント糸を用いて,胆管径に応じて結節あるいは連続縫合で行う.1996年1月から2016年12月までに当科で施行した腹腔鏡下胆道拡張症手術37例(胆道再建を小開腹下に行っていた2003年までの前期群(A)17例と完全腹腔鏡下に行うようになった2004年以降の後期群(B)20例)を比較検討した.年齢中央値は34歳,男女比は13:24.手術時間はA群505分,B群465分と有意差を認めなかったが,出血量中央値はB群(75g)がA群(200g)より有意に少なかった(p<0.001).術後在院日数中央値はB群(7日)がA群(34日)より有意に短かった(p<0.01).術後短期合併症は膵管損傷1例(A群),胆汁瘻4例(A群2例,B群2例),膵液瘻1例(B群),術後出血1例(B群),内ヘルニア1例(B群)であった.鏡視下に胆道再建を行ったB群の2例で術後6ヵ月目に胆管空腸吻合部狭窄を認め,経皮的胆道ドレナージを行った上で拡張術を行った.当科では小開腹併用から段階的な導入を経て,視野展開や鏡視下体内縫合の技術の向上により完全鏡視下で安全に行えるようになってきた.これまでのわれわれの経験から腹腔鏡下胆道拡張症の要点と今後の課題について述べる.
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