演題

漿膜下層を中心とした胃壁内腫瘍として発症したIgG4関連硬化性疾患の1例

[演者] 宮澤 秀彰:1
[著者] 小棚木 圭:1, 升田 晃生:1, 吉楽 拓哉:1, 里吉 梨香:1, 工藤 和大:1, 澤田 俊哉:1, 大内 慎一郎:1, 小棚木 均:1
1:秋田赤十字病院 消化器外科

【はじめに】IgG4関連硬化性疾患は,血清IgG4高値と病変部への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする疾患である.自己免疫性膵炎において報告されて以降,類似した組織像を示す硬化性病変が涙腺・唾液腺病変,硬化性胆管炎,後腹膜線維症,肝炎症性偽腫瘍など他臓器で認められている.これらはIgG4関連硬化性疾患として一連のものとして扱われるようになってきたが,胃病変に関する報告は極めて稀である.今回,後腹膜脂肪肉腫術後の胃壁に浸潤する再発を疑い手術を施行したが,病理組織学的にIgG4関連硬化性疾患と考えられた1例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】58歳,男性.後腹膜脂肪肉腫で腫瘍切除,左腎,脾臓,結腸合併切除術を施行.6年後のCTで左大腰筋に浸潤する腫瘍が出現し,脂肪肉腫の再発と考えられた.陽子線治療(79.2Gy)を行ったが,その後同部位は全く変化のない状態を維持していた.その6年後のCTで,胃噴門背側中心に径61mmの腫瘍性病変が出現.上部消化管内視鏡検査では,噴門から体上部後壁主体に隆起性病変を認めたが,粘膜には異常を認めなかった.血液検査所見で,WBC 18300/μl, CRP 4.32mg/dlと炎症所見を認めた.これまでの経過から脂肪肉腫の再発,胃壁,横隔膜浸潤と考え,手術を施行した.術中所見で腫瘍は硬く胃壁内に存在しているようで,脂肪肉腫の再発は否定的であった.胃全摘,横隔膜合併切除術を施行した.病理組織学的検査では,腫瘍の主座は固有筋層より下で漿膜下が想定され,炎症細胞浸潤,特に好中球が目立ち,他にリンパ球,マクロファージ,血管増生,多核や大型異型核を有する巨細胞,繊維芽細胞増生などを認めた.免疫染色で,異型核巨細胞はS100(-), CD68(+)で脂肪肉腫細胞は否定され組織球由来が示唆され,IgG4陽性形質細胞の浸潤が横隔膜癒着部で目立ち,IgG4関連硬化性疾患による病変と診断した.術後35日目に退院.術後4ヶ月経過し特に異常を認めていない.【考察】IgG4関連硬化性疾患は,消化管病変の報告は稀であるが,胆管,結腸,小腸での異時性多発の報告例もあり,寛解,増悪を繰り返す全身疾患であり,早期の診断,適切な薬物療法,外科的治療が必要となる.医療者側が広く本症を認識することが重要で,患者へ十分な説明をする必要がある.
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