演題

胃アミロイドーシスによる消化管出血に対し胃切除を施行した1例

[演者] 菊池 勇次:1
[著者] 山本 立真:1, 松井 一晃:1, 吉野 雄大:1, 村山 健二:1, 山川 輝記:1, 鳥海 史樹:1, 遠藤 高志:1, 原田 裕久:1
1:東京都済生会中央病院 外科

症例は50歳代の女性.約12年前に心窩部不快感の精査目的に施行された上部消化管内視鏡検査で胃体部に約5cm大の境界明瞭な潰瘍性病変を認め,生検で胃アミロイドーシスが疑われ当院血液内科へ紹介となった.全身検索の結果,胃以外に病変を認めなかったため原発性限局性胃アミロイドーシスと診断された.その後も定期的に上部消化管内視鏡検査が行われていたが,潰瘍性病変に経時的な変化が見られなかったため,当院血液内科で経過観察されていた.
本年1月に吐血を主訴に前医受診され,胃アミロイドーシスからの消化管出血に対して内視鏡的止血術が施行された.同年10月に再吐血のため当院救急外来受診となり,緊急で上部消化管内視鏡検査を施行した.胃内には凝血塊が多量に広がっており,胃アミロイドーシスの潰瘍底全体より湧出性に出血しており,内視鏡的止血困難と判断されたため緊急手術を施行した.上腹部正中切開にて開腹すると,胃体部前壁を中心に10cm大の粘膜下出血を伴う腫瘤を認め,胃壁は著明に肥厚しており陶磁様に硬化していた.術式としては胃部分切除を施行する方針とし,胃壁は手縫いで縫合閉鎖して手術終了した.術後合併症なく経過され,術後12日目に軽快退院された.病理学的には胃壁全体に組織の脆弱性が著明であり,粘膜下から固有筋層は消失してアミロイド沈着を認めていた.
アミロイドーシスはアミロイド繊維蛋白が全身臓器の細胞外に沈着することによって機能障害を引き起こす原因不明の難治性疾患とされているが,胃に限局するアミロイドーシス例は少なく,比較的稀とされる.今回我々は胃アミロイドーシスによる消化管出血に対し外科的治療を要した一例を経験したため,文献的考察を加えてここに報告する.
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