演題

WS08-5

術後肝内結石発生から見た先天性胆管拡張症に対する腹腔鏡下手術の適応と胆道再建術の手技の要点

[演者] 内藤 剛:1
[著者] 森川 孝則:1, 大塚 英郎:1, 石田 晶玄:1, 高舘 達之:1, 水間 正道:1, 中川 圭:1, 林 洋毅:1, 元井 冬彦:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

先天性胆管拡張症・膵胆管合流異常症は若年女性に多く,腹腔鏡下手術の低侵襲性や整容性は高く評価されているものの,手技的困難性や胆管膵管合流部の確認法の困難性から広く普及しているとは言いがたい.技術的側面から見た本手術の課題としては,胆道再建術が挙げられる.本症は良性疾患で若年者の手術が多いことから,術後の長期合併症を考慮した胆道再建が重要である.本症術後の胆道再建術に起因する合併症としては肝内結石症が挙げられる.肝内結石症の原因としては吻合部狭窄による胆汁うっ滞があるが,吻合部に明らかな狭窄がなくてもその上流胆管に拡張があり,吻合部径との間に胆管径の差がある場合(相対的狭窄)は,拡張胆管の壁近傍と胆管中央部での胆汁の流速に著しい差が生じ,壁近傍で胆汁うっ滞が起きやすく肝内結石症発生の原因となると報告してきた.特に肝内胆管の拡張部の径に対して吻合部径が2/3以下になると肝内結石症が発生しやすいと報告して来た.そのため開腹手術においては肝内胆管に拡張がある症例においては吻合部を広く形成し,再建を行う工夫を行なって来た.腹腔鏡下手術においては,肝門形成を伴う胆道再建術は難易度が高いため腹腔鏡下手術の対象から除外すべきであると考えている.そのため当科で腹腔鏡下手術の適応としては,戸谷分類のI型のみとし,肝内胆管に拡張があるIVa型は適応外としている.我々は2011年9月から本症に対する腹腔鏡下手術を導入し,2012年5月からはロボット支援手術を開始した.症例は11例で腹腔鏡下手術例6例,ロボット支援手術例5例であった.胆管空腸吻合後結腸ルートでRoux-en Y肝管空腸吻合を行う.4-0 monofilament吸収糸にて連続一層縫合を行っている.吻合の際の技術的な要点としては,1) 左肋弓下のポートから術者の持針器を挿入し縫合の軸を持針器の軸と平行にする,2) 針の大きさは22mm径の半円の物を使用する,3) 光学視管を左下腹部から挿入し,臍部から術者の左手鉗子を挿入することでCo-axial settingで縫合を行うことである.また縫合のピッチ,バイトは約2mmとしpurse-string作用による狭窄を防止するよう心がけている.現在まで吻合部狭窄及び肝内結石を発症した症例は経験していないが,今後さらに長期的な経過観察を行って行く予定である.
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