演題

大腸の悪性狭窄に対するステント治療の経験

[演者] 尾形 英生:1,2
[著者] 勝又 大輔:2, 柴崎 雄太:1, 滝田 純子:1, 増田 典弘:1, 芳賀 紀裕:1, 中島 政信:2, 山口 悟:2, 加藤 広行:2
1:国立病院機構 宇都宮病院 外科, 2:獨協医科大学 第一外科

【はじめに】
大腸癌イレウスや腹膜播種による大腸閉塞に対してはストマ造設や経肛門イレウス管留置を行うことが従来は一般的であったが,これら処置では患者および家族のQOL低下は避けられなかった.様々な検討を経て本邦では2012年に大腸悪性狭窄に対する大腸ステント留置が保険収載され,従来の治療方針に変化がみられてきた.閉塞性大腸癌に対して術前に大腸ステントを留置することで一時的なストマ造設を回避し,下剤による腸管前処置後に一期的な腸管の切除・吻合が可能となるのは大きなメリットである.しかし,ストマ造設と比べて腸管減圧効果が不十分であったり,穿孔などの合併症も少ないながら認められることには注意が必要である.当院での大腸ステント治療の経験を報告する.

【大腸ステントの適応】
大腸ステントの適応は①手術を目的とした大腸癌による狭窄解除,②緩和治療目的の大腸悪性狭窄に伴う腸閉塞の解除である.

【大腸ステント留置症例のまとめ】
2013年~2016年に大腸ステントの留置を25例(①手術までの待機治療20例,②緩和的治療5例)に行った.①は左側大腸癌16例,右側大腸癌4例で左側大腸癌では病悩期間が数日と短く,右側大腸癌では週~月単位で長い傾向があった.ステント留置は19例(95%)で技術的に成功し,1例で留置時に穿孔を生じた.臨床的に減圧できたのは18例(90%)で,減圧不十分な1例はストマ造設を要した.ステント留置から手術までの期間は中央値13日(7-64)であった.18例で一期的な吻合を行った(縫合不全例なし,非ストマ率90%).②は胃癌2例,大腸癌3例でステント留置は4例(80%)で技術的に成功したが,臨床的に減圧できたのは2例(40%)で,減圧不十分な2例はストマ造設,バイパス術を要した(非ストマ率80%).

【結語】
大腸ステント留置により大腸悪性狭窄に対する治療はより合理的となった.本治療は患者QOLの向上にも寄与する有用な方法と考えられた.
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