演題

閉塞性大腸癌イレウスに対する経肛門イレウス管管理の工夫とその検討

[演者] 飯塚 彬光:1
[著者] 石山 聡治:1
1:岡崎市民病院 外科

【はじめに】大腸癌の診断技術が進歩する昨今にありながら,イレウスによる症状が契機として判明する大腸癌は少なくない.閉塞性大腸癌イレウスの緊急手術を代替する非侵襲治療として,経肛門イレウス管が挙げられる.当院では左側の大腸癌イレウス症例に対して内視鏡的に経肛門イレウス管を留置し,待機的に手術を行う方針を採用しており,その管理の工夫と臨床経過につき報告する.
【対象,方法】2009年1月から2016年9月までに閉塞性大腸癌イレウスに対して経肛門イレウス管留置を試みた54例のうち,留置困難であった6例を除外した48例を対象とした.2009年から2012年までは,経肛門イレウス管を手術日まで留置していたが,チューブによる穿孔症例が散見されたため,2013年より『チューブ脇から便の漏出があり,患者の悪心嘔吐,腹部膨満症状の改善を認めること』を基準に経肛門イレウス管を早期抜去し,穿孔率の低下を目指してきた.手術日まで留置していた前期群(n=25)と早期抜去を目指した後期群(n=23)を比較検討した.検討項目は,患者背景(性別,年齢,BMI,PSなど),臨床病理学的因子(stage,腫瘍占拠部位),臨床経過(経肛門イレウス管の留置日数,穿孔,腸閉塞再燃,術前経口摂取の有無,手術までの日数),手術所見(術式,手術時間,出血量),術後合併症とした.
【結果】2群間において,患者背景,臨床病理学的因子に有意差は認めなかった.臨床経過において,経肛門イレウス管留置日数は前期群に対して後期群で有意に短縮された.(p=0.002,平均11.4日vs 5.9日)穿孔は前期群で5例,後期群で1例であり,有意差はないが減少傾向が見られた.術前経口摂取は前期群で1例,後期群で8例において可能となった.後期群において2例に経肛門イレウス管抜去後の腸閉塞再燃に伴う再留置を要した.手術所見,術後経過に関しては有意差を認めなかった.
【考察】当院で採用した抜去基準に則り,経肛門イレウス管を早期抜去することで,穿孔率が減る傾向にあり,QOLを維持することができた.安全な周術期管理に寄与していると考えられる.
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