演題

直腸癌イレウスに対する術前化学療法を前提とした二期的根治術の有用性

[演者] 赤石 隆信:1
[著者] 坂本 義之:1, 諸橋 一:1, 三浦 卓也:1, 長谷部 達也:1, 吉田 達哉:1, 袴田 健一:1
1:弘前大学附属病院 消化器外科

【目的】直腸癌イレウスの症例では周囲臓器への直接浸潤を伴うT4症例も多く,一期的根治術を行う際に合併切除が必要になる場合も多い.我々は2010年以降,機能温存と局所再発抑制を目的として,ストーマ造設ののち,術前化学療法(NAC)を行って根治手術を行う二期的治療を導入しており,これらの治療の有用性,安全性について検討した.【対象と方法】2000-2016年の直腸癌680例のうち,イレウスのため絶食,TPN管理が必要となった55例(8%)を対象とした.2000年-2009年を前期群,2010年-2016年を後期群とし,治療内容と術後成績を比較検討した.【結果】年齢および性別に有意差は認めなかった.Rb以下の腫瘍は前期群16%,後期群50%と,後期群に下部直腸癌が多かった.腫瘍径は前期群77mm,後期群58mm.壁深達度T4bは前期群32%,後期群58%と後期群に多く,Stage IV症例は前期群42%,後期群33%であった.減圧法は経鼻的/経肛門的/ストーマが前期群16/23/19%,後期群0/21/63%で,NACを前提としたストーマ造設の割合が後期群で増加している.術前照射は前期群6%,後期群8%であり,NACは前期群3%,後期群63%と後期群で有意に多く,全例でL-OHPが平均5.5コース投与されていた(分子標的薬併用は93%).腹膜炎手術は前期群6%,後期群17%で,緊急手術は前期群39%,後期群33%であった.下部直腸癌の肛門温存(LAR,ISR)は前期群20%,後期群50%と有意に増加した.Hartmann/APR/TPEの割合は,前期群19/10/6%,後期群4/21/0%とNACによってTPEを回避できた症例が増加した.術後合併症は前期群48%,後期群46%で,縫合不全は前期群13%,後期群21%であった.再手術は前期群16%,後期群8%で,周術期死亡はなかった.【結論】直腸癌イレウスに対するNACを前提とした二期的治療は,機能温存の観点から有用であると考えられた.今後はさらに縫合不全などの術後合併症を含めたNACの安全性および局所再発を含めた根治性の検証と,NACレジメンの検討が必要である.
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