演題

閉塞性大腸炎を伴う閉塞性大腸癌に対して大腸ステントを留置した症例の検討

[演者] 冨田 雅史:1
[著者] 山田 和宏:1, 芳竹 宏幸:1, 新谷 紘史:1, 高見 友也:1, 畑野 光太郎:1, 片岡 直己:1, 山口 智之:1, 坂本 一喜:1, 牧本 伸一郎:1
1:岸和田徳洲会病院 外科

背景)閉塞性大腸炎は,閉塞性大腸癌の1~7%に起こるとされ,大腸ステントなどの減圧治療や手術治療の合併症リスクとしても重要である.当院では閉塞性大腸炎を併発している閉塞性大腸癌は基本的に大腸ステント留置は行わない方針としているが,保存的に炎症が改善した場合には留置を行っている.また初診時に診断がついていない場合や,留置後の減圧により閉塞性大腸癌の発症が誘発される場合もあり,閉塞性大腸炎の頻度や経過について検討した.
方法)大腸ステント留置が保険収載された2012年1月以降2016年10月までのステント留置を施行した89症例のうち,大腸ステント留置前もしくは留置後に閉塞性大腸炎を併発した9例について後方視的に検討した.閉塞性大腸炎は,腹痛の臨床症状があり,炎症反応高値,腹部CTまたは腹部エコーによる口側腸管の浮腫を伴うものと定義した.
結果)大腸ステント治療を拒否した1例をふくめて閉塞性大腸癌のうち10.0%(10/90)で閉塞性大腸炎が見られた.炎症反応高値となる重症型は3例にみられた.1例では炎症反応は比較的低値であったものの,ステントを介した術前の大腸内視鏡検査において内視鏡通過不能な狭窄型となっていた.9例中7例はステント治療より前に発症しており,2例はステント後の減圧を契機に発症したと考えられた.ステント前に発症した7例のうち3例は事前に診断が出来ておらず,うち1例は壊死型切迫穿孔の状態だったと考えられた.
考察)閉塞性大腸炎はステント留置の合併症や縫合不全などの手術手技の合併症に関連する可能性があるが,ステント留置前に診断が困難な場合がある.ステント留置前には腹部症状,CRPなど炎症反応,腹部CTにおける口側腸管の浮腫などを確認し閉塞性大腸炎を除外する必要がある.またステントによる減圧により閉塞性大腸炎を誘発する可能性があり,留置後の腹痛・炎症反応上昇が見られる場合は腹部CTなどの画像診断を考慮すべきと考える.
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