演題

WS08-4

術前EUS,審査腹腔鏡と術中病理診断を組み合わせた胆嚢癌疑診例に対する腹腔鏡下テーラーメイド手術

[演者] 板野 理:1
[著者] 篠田 昌宏:1, 北郷 実:1, 阿部 雄太:1, 日比 泰造:1, 八木 洋:1, 中野 容:1, 愛甲 聡:2, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科, 2:永寿総合病院 内視鏡手術センター

【背景】胆嚢癌に対する治療として,壁深達度に応じた術式選択が必要とされているが,術前診断能が低いことが至適術式の選択を困難としている.われわれの施設では,EUSと審査腹腔鏡,そして術中迅速病理診断を組み合わせ,術中に術式を決定するテーラーメイド手術にて良好な成績を得ている.
【方法】画像診断(超音波,CT,MRI)により胆嚢癌を疑われた症例に対し,EUSを行い,T1症例に対し腹腔鏡下全層胆嚢摘出術を,T2症例に対し,腹腔鏡下胆嚢床切除± リンパ節郭清を,T3以深症例に対し開腹根治術を施行している.
cT2胆嚢癌に関しては,審査腹腔鏡を施行し非切除因子を除外後, 超音波検査で胆嚢病変を確認.胆嚢管断端を迅速病理にて陰性を確認後, 胆嚢床切除を施行.迅速病理にて胆嚢癌の存在および深達度診断を行い,その結果に応じて腹腔鏡(補助)下にてリンパ節郭清を追加した(pT1bでD1郭清, pT2でD2郭清).
【結果】術前EUS診断126例の術後病理診断に対する正診率は91%と良好であったが,腹腔鏡下テーラーメイド手術を開始する前に9.1%(8例)の過剰手術,および1.1%(1例)に不十分な手術が行われた.腹腔鏡下テーラーメイド手術を開始後は,術前診断cT2胆嚢癌25例は迅速病理診断にて7例が慢性胆嚢炎と判明し,手術終了とした. 術中迅速病理診断の最終病理診断に対する正診率は深達度を含め100%であった.胆嚢癌全例で根治術がなされ,リンパ節郭清を腹腔鏡下に施行した16例と以前の開腹D2郭清症例と比較すると, 平均手術時間368 ± 73分と開腹手術群と同等な結果であり, 平均出血量152 ± 90mlは有意差をもって低値であった.郭清リンパ節の平均個数は, 開腹手術群 10.2 ± 4.0個, 腹腔鏡手術群 12.6 ± 3.1個と同等であった.腹腔鏡手術群では, 誤嚥性肺炎を併発した1例を除き術中・術後合併症を認めず,術後在院日数は9.1 ± 1.6日と開腹群より有意に短かった. 術後長期成績においても全例無再発生存にて経過している.
【結語】病状に最適な手術を提供することを目的とした,術前EUS,術中病理診断と審査腹腔鏡を組み合わせた腹腔鏡下テーラーメイド手術は胆嚢癌疑診例に有用である.
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