演題

当科における直腸脱に対する手術方法と術後成績について

[演者] 黒田 武志:1
[著者] 三宅 秀則:1, 淺野間 理仁:1, 四方 佑子:1, 小笠原 卓:1, 荒川 悠佑:1, 山﨑 眞一:1, 三宅 秀則:1
1:徳島市民病院 外科

【はじめに】直腸脱は高齢者に多い疾患であり,手術侵襲と根治性の両方を考慮して術式を決定する必要がある.当科では重篤な併存疾患がない症例であれば経腹的直腸仙骨前面固定術を施行し,poor riskな症例は経肛門的手術(Gant-三輪-thiersch法,PPH法)を施行していた.しかし,経腹的手術の侵襲度や開腹後の便通異常発症,経肛門的手術の再発率が問題であったことから,これらを改善させるために腹腔鏡下直腸挙上固定術(Wells法)や経肛門的手術としてDelorme手術も導入しており,以前の症例との比較検討を行った.
【手術手技】(腹腔鏡下直腸挙上固定術)臍部に12mm,右上下腹部にそれぞれ5mmのportを留置し,左下腹部に2.4mm細径鉗子(Endo Relief)を用いた.内側アプローチで直腸を剥離授動した後に,marlex meshを縦4cm×横7cmにトリミングして形成したmeshを仙骨前にtackerで約5針固定する.直腸を頭側に挙上した状態で3-0縫合糸にてmeshと直腸とを9針縫合固定した.生じた腹膜切開部も縫合修復した.
【対象と方法】2014年1月から2016年12月までに当科で施行した直腸脱手術24例(後期)について2009年から2013年に施行した44例と(前期)比較検討した.
【結果】後期24例の手術術式は経腹的直腸仙骨全面固定術15例(開腹下13例,腹腔鏡下2例),経肛門的手術が9例(Delorme手術6例,Gant-三輪-thiersch法3例)であり,前期44例(開腹下37例,腹腔鏡下1例,Gant-三輪-thiersch法1例,PPH法5例)と比較すると,腹腔鏡下手術とDelorme手術が増加していた.腹腔鏡下手術では手術時間の延長がみられたが,開腹手術に比較して術後早期の排便異常は軽度であった.再発は前期では経腹的手術の3例(8.5%),経肛門的手術の1例(16%)にみられ,後期では経肛門的手術のGant-三輪-thiersch法に1例(33.3%)のみにみられた.
【考察】腹腔鏡下直腸挙上固定術は高齢者でも術後合併症なく安全に施行できる.また再発率は少なく開腹によって生じる便通異常を軽減させた.また,経肛門的手術としてDelorme手術は低侵襲であり他の経肛門的手術に比較して再発率を減少させる可能性があると思われた.
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