演題

直腸脱の診断法の検討

[演者] 角田 祥之:1
[著者] 藤城 卓也:1, 角田 千尋:1
1:医療法人樹心会 角田病院

直腸脱とは,直腸が肛門外に反転して脱出する病態であり,骨盤底筋の脆弱化や直腸固定の異常が主な原因とされている.筋トーヌスの低下にて脱出し診断が容易な症例も多いが,時々診断に難渋することも経験する.今回,直腸脱の診断に難渋した症例に関して検討した.

対象:
2012年4月から2016年6月までに当院にて直腸脱と診断された方は24例(男7,女17)であり,平均年齢は75.3歳(43~91歳)であった.

方法:
当院では,肛門診察は基本的に全例①:sims位で行っている.sims位で脱出が確認できない症例は,②:トイレで排便位(怒責位)で診察した.それでも脱出を確認できない症例では,実際に脱出している状態を③:写真に撮影し,診断した.
②と③で診断した症例を診断困難例として,①と比較,検討した.

結果:
全症例で脱出が主訴として認められた.痛みは8例,出血は6例で認められた.
当院初診または前医で直腸脱と診断された症例が16例(初発14例,Gant-三輪術後の再発2例)であった.
8例は,当院を受診する前に他の医療機関を受診されていたが, 全症例が痔核と診断されており,5例が手術,3例が保存的治療を施されていた.しかし,症状の改善が乏しいため,当院を受診された.

①sims位で直腸脱と診断可能だったのは16例であり,痔核4例,直腸粘膜脱2例,異常なし2例だった.sims位では診断が困難であった8例のうち3例は②怒責位で診断可能であったが,残りの5例は自宅で③写真を撮影し,初めて診断可能であった.

①と②+③を比較,検討した.
①:16例(男2,女14),②+③:8例(男5,女3)であり,後者では男の割合が高かった.他医の受診歴の有無(有:無)は,①(3:13),②+③(5:3)であった.脱出腸管長は,全体が6㎝であり,①:6.6cm,②+③:5.6cmであった.

考察:
simus位で診断困難だった症例は,男性が多く,脱出長が比較的短い症例が多かった.また他医にて痔核と診断されて治療を受けた症例の割合も多いことから,前医での診断の際に適切な方法で診断をされず,十分に脱出することが確認できなかった可能性が示唆された.

結語:
脱出を主訴に来院される症例や痔核の診断で治療を行うも改善が乏しい症例に対しては,直腸脱の可能性を考慮することが重要であると考えられた.直腸脱が疑われる症例,特に男性に対しては,simus位のみならず,怒責位もしくは脱出状態を写真で撮影してもらう等を考慮することが望ましいと思われた.
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