演題

上行結腸腸間膜に生じたRosai-dorfman病の1例

[演者] 本多 良哉:1
[著者] 富澤 直樹:1, 荒川 和久:1, 清水 尚:1, 黒崎 亮:1, 高橋 憲史:1, 榎田 泰明:1, 岡田 拓久:1, 星野 万里江:1, 安東 立正:1
1:前橋赤十字病院 外科

Rosai-dorfman病は1969年にRosaiとDorfmanによって報告された偽リンパ腫様病変である.今回我々は上行結腸間膜脂肪織に生じたRosai-dorfman病の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は79歳女性,5か月前より右下腹部痛を自覚, 近医での精査で上行結腸に腫瘤性病変を認め,心疾患と精神疾患の既往症もあり精査加療目的に当科を受診した.造影CT検査では上行結腸腸間膜に35㎜大の内部不均一で造影効果のある腫瘤と右鎖骨下・前縦隔リンパ節の腫大を認めた.FDG-PET検査では上行結腸間膜の腫瘤にのみSUV max 6.77の集積を認めた.下部消化管内視鏡検査では上行結腸の粘膜面に異常は認めなかった.血液生化学検査では,CEA 1.0ng/ml,CA19-9 7U/ml,sIL-2R 718U/ml,T-SPOT.TB(-),IgG4 31.4mg/dl,抗核抗体(-)であった.以上より悪性リンパ腫を含む悪性疾患の可能性が否定できない事,組織診による確定診断が必要である事から,回盲部切除術D3リンパ節郭清を施行した.術後経過良好で術後8日目に退院した.摘出標本の肉眼的所見では粘膜面に不整な病変は認めず,粘膜下組織に径40㎜の黄白色調の充実性腫瘤を認めた.組織学的所見では腸間膜脂肪織から固有筋層に及ぶ不整形腫瘤で,腫瘤内には紡錘形細胞や組織球様細胞を認めた.免疫染色では,紡錘形細胞ではα-Actin(+),C-kit(-),CD34(-),ALK(-),組織球様細胞はCD68(+),CD21(-),CD1a(-)で,どちらの細胞もS-100(+)であり,リンパ節の類洞内にemperipolesisの所見を認めた.以上よりRosai-dorfman病の診断であった. 本疾患は稀な疾患ではあるが,リンパ節腫大を伴う腫瘤性病変の鑑別として念頭に置く必要がある.

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