演題

大腸低分化腺癌と先進部低分化腺癌の検討

[演者] 豊田 和広:1
[著者] 下村 学:1, 小野 紘輔:1, 築山 尚史:1, 志々田 将幸:1, 大石 幸一:1, 宮本 和明:1, 池田 昌博:1, 貞本 誠治:1, 高橋 忠照:1
1:東広島医療センター 外科

【はじめに】大腸低分化腺癌は比較的まれで進行癌が多く予後不良とされる.また浸潤先進部の低分化領域の存在は転移再発リスク因子として知られる.今回,低分化腺癌と先進部に低分化所見を認めた分化型腺癌とを比較検討した.
【対象】2004年4月から2014年3月までの10年間に経験した粘膜(M)癌と粘液癌(muc)を除く大腸癌切除症例は576例であった.このうち腫瘍先進部に低分化所見を認めた分化型腺癌(先進低)は39例,大腸癌取扱い規約に従った低分化腺癌(低分化)は33例,それ以外の癌(その他)は504例であった.これらを臨床病理学的に比較検討した.また低分化腺癌については充実型(por1)21例,非充実型(por2)12例に分類し検討した.
【結果】低分化において腫瘍サイズは大きく,壁深達度も深い傾向にあった.術前腫瘍マーカーには差はなかった.腫瘍占居部位は低分化では右側結腸に約50%と多く,その他,先進低では約30%であった.リンパ管侵襲および静脈侵襲陽性例は低分化と先進低ではその他に比べ多く認めた.リンパ節転移は低分化ではN2症例が最も多かったが,先進低ではN1が,その他ではN0が最多であった.遠隔転移(肝,腹膜)は低分化で多かったが,先進低とその他では差はなかった.進行度はStage IIIa以上が低分化で79%,先進低で62%,その他で42%であり低分化,先進低,その他の順で進行症例が多かった.根治度Aの手術ができた症例は先進低,その他では80%を超えたが,低分化では64%に留まった.しかし根治度Aの術後再発症例は先進低で28%と最も多く認め,低分化は14%,その他は12%であった.さらに根治度Aでの累積5年生存率では先進低で66%,低分化で75%,その他87%であり,先進低の予後が最も悪かった.また低分化腺癌をpor1とpor2で比較すると,por2でStage IIIb以上に進行したものが75%と多く,根治度A/B症例でも半数以上が再発し予後不良であった.por1では根治度A/B症例の再発は2例(12%)のみで予後は悪くはなかった.
【まとめ】大腸癌切除例において低分化腺癌は進行症例が多く予後不良であったが,腫瘍先進部に低分化所見を認めた分化型腺癌症例では根治術が可能であっても再発例が多く悪性度が高いと思われた.また低分化腺癌はこれまでの報告と同様にpor2(非充実型)で進行したものが多く予後不良であった.
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