演題

同時性肛門管転移をきたした直腸癌の2例

[演者] 鈴木 雄飛:1
[著者] 倉地 清隆:1, 鈴木 克徳:1, 川村 崇文:1, 阪田 麻裕:1, 原田 岳:1, 山本 真義:1, 菊池 寛利:1, 坂口 孝宣:1, 今野 弘之:1
1:浜松医科大学医学部 外科学第二

【はじめに】直腸癌に同時性肛門管転移を合併した2症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例1は44歳男性.30x20mm大の会陰部の皮下腫瘤と数年前からの排便時出血を主訴に近医受診.下部消化管内視鏡検査で直腸Raに1/2周性Type2病変を認め,生検で中分化型腺癌と診断.痔瘻の既往歴は認めず.直腸癌会陰部皮下転移と診断し,腹腔鏡下低位前方切除術D3郭清と会陰部局所切除術を施行した.pT3(SS),pN2(7/15),cM0,pStageIIIbであったが,病理組織学的には会陰部皮下腫瘤も中分化型腺癌であった.術後補助化学療法を6ヶ月施行し,その後のCT(初回手術術後7ヶ月)で鼠径リンパ節再発を認め,追加切除を施行した.術後化学放射線療法を行い,初回手術術後8年の現在まで再発を認めていない.症例2は74歳男性.40x30mm大の会陰部腫瘤を主訴に近医受診.皮膚悪性腫瘍を疑ったが生検の結果分化型腺癌と診断,その後の下部消化管内視鏡検査で直腸Raに全周性のType2病変を認め,生検結果より高-中分化型腺癌と診断.CTおよびMRI画像検査で肛門から会陰部腫瘤に向かう瘻孔を認めた.痔瘻の既往歴はなく,臨床経過と画像所見から直腸癌肛門管転移と診断した.会陰転移部皮膚瘻孔を一括に腹会陰式直腸切断術,D2郭清を施行した.切除検体の歯状線近傍の粘膜より1次孔を認め,瘻管は会陰部腫瘤に連続していた.病理組織学的診断はpT3(SS),pN2(4/44),cM1a(H1),pStageIVであった.術後肝転移に対し化学療法を施行し,現在5ヶ月SDで経過している.【考察】大腸癌の肛門管転移は口側に存在する原発巣から脱落した癌細胞が陰窩,痔瘻等にimplantationすることで生じると言われている.症例1は肛門から連続する瘻管を確認できないが,血行性皮膚転移は極めて稀であり,陰窩へのimplantationによる転移と診断した.症例2は,原発巣と転移病変の組織型が同じ分化型腺癌であり,転移病変とそれに向かう瘻管を確認できていることから,直腸癌遊離細胞が肛門管へ転移し,腫瘍増大により痔瘻様病変を形成した限局的な範囲での転移と考えられた.過去の文献からこのような転移形式の根治切除術後の局所再発の報告はなく,いわゆる管腔内からの肛門管への転移病変は,根治切除することで原発巣の進行度と同等の予後を期待できる可能性がある.
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