演題

結核性腹膜炎を合併した直腸癌の1手術例

[演者] 宮崎 知:1
[著者] 酒井 健一:1, 西谷 暁子:1
1:大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 消化器・乳腺外科

【はじめに】一般市中病院において腸結核症例に遭遇することはまれである.当院は呼吸器疾患に特区した病院で結核を合併した消化器疾患症例が少なくない.最近,播種性腸結核性腹膜炎を合併した直腸癌の1手術例を経験したので報告する.
【症例】59歳,男性.【主訴】食欲不振,体重減少.【現病歴】平成27年秋ごろより上記症状あり.平成28年4月,近医を受診し,胸部異常陰影を認め入院.気管支内視鏡による喀痰結核菌PCR陽性であった.入院中の大腸内視鏡検査にて回盲部に潰瘍性病変を認め生検にて肉芽腫病変を認め腸結核と診断され,直腸Rabに25㎜大のⅠ型直腸癌病変を認めた.治療のため5月初旬当院に転院.
【入院後経過】
入院後,INH/RFP/EB/PZAによる肺結核・腸結核の治療を開始.右胸水を多量に認めたため胸腔ドレナージを施行.6月初旬に低位前方切除術並びに人工肛門造設術(横行結腸2孔式)施行した.開腹所見では少量の腹水を認め,腸管表面には広範囲に粟粒結節を多数認め,腹腔内臓器は線維性癒着が著しく結核性腹膜炎を呈していた.手術所見:Rb type1 30×40mm D3 T2(MP) N0M0PH0 StageⅠ.病理所見:tub2 pT1b (pSM1500μm) int INFb N0P0 H0M0 pStageⅠb PM0 DM0 RM0 R0 CurA.腹膜結節は広範囲に類上皮性肉芽腫を認め,Ziehl-Neelsen染色陽性の桿菌を多数認めた.術後イレウス症状を認めたが,保存的に改善.術後37日目に退院した.退院後,結核治療は継続したが,時折腸閉塞を呈しており.画像診断にて回腸末端に狭窄病変と盲腸との瘻孔を認め,術後3か月目に回盲部切除並びに人工肛門閉鎖術を施行した.腹腔内の結核性腹膜播種病変は消失していた.病理所見では回盲部には非壊死性細胞性肉芽腫を認めたが,Z-N染色陽性桿菌は認めなかった.
【考察】腸結核と大腸癌の合併症例の多くは結核病変内や近傍に発生した大腸癌症例で,結核病変と離れた直腸癌を合併した報告は少ない.また本症例のごとく結核性腹膜炎の治癒を病理学的に確認した報告例は認めなかった.腸結核を合併した消化管手術例は狭窄や瘻孔を形成することがあり術後も慎重な経過観察を要すると思われた.
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