演題

転移性大腸癌の2例

[演者] 板倉 弘明:1
[著者] 池永 雅一:1, 遠藤 俊治:1, 太田 勝也:1, 上田 正射:1, 高山 碩俊:1, 津田 雄二郎:1, 中島 慎介:1, 足立 真一:1, 山田 晃正:1
1:市立東大阪医療センター 消化器外科

【症例Ⅰ】66歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され当科を受診した.胸腹部CT検査を施行したところ,下行結腸癌と胃癌を疑う所見と,多発肝・肺腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査所見では,3型の胃癌と0-Ⅱa型の食道癌を認め,下部消化管内視鏡検査所見では,下行結腸に2型の大腸癌を認め,狭窄のため同部より口側の観察は不可能であった.以上から,胃癌,大腸癌,食道癌の重複癌と診断した.大腸病変は,狭窄を来す可能性が高いと思われ,切除の方針とした.結腸部分切除術と原発巣の精査で肝生検,腹膜播種サンプリングを施行した.大腸腫瘍の病理検査結果は,主に粘膜下層から漿膜下層内に広範に腫瘍細胞の浸潤性の増殖を認め,漿膜面のごく近傍まで腫瘍が浸潤している部位もあった.また,胃生検の組織と免疫染色所見が合致しており,胃癌の大腸転移と診断し,脈管性転移が疑われた.肝腫瘍,腹膜播種についても同様の免疫染色所見であり,胃癌と食道癌の重複癌と最終診断した.胃癌に対する化学療法を1年施行するも効果はPDで現在BSCを行っている.【症例Ⅱ】67歳,女性.1カ月前より増悪する排便障害を主訴に当院を受診した.腹部造影CT検査所見で,S状結腸癌によるイレウスの所見があり,緊急ステント留置を行った.また,腹膜播種や子宮原発の悪性腫瘍を疑う所見があり,婦人科の診察では,子宮体癌の診断であった.子宮体癌とS状結腸癌の重複癌に対して,婦人科と合同でハルトマン手術,単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.術中所見では腹腔内に散在する腹膜播種結節を認めた.病理検査所見では,漿膜下層から筋層あるいは粘膜下層にかけて増殖する腫瘍を認め,腫瘍細胞の形態が子宮癌の像と類似しており,子宮体癌の大腸転移と診断した.脈管浸潤が目立ち脈管性の転移が疑われた.術後1カ月半が経過し,婦人科にて化学療法を施行中である.転移性大腸癌は大腸癌全体の0.1%~1%程度と稀で,原発巣は胃が多く,卵巣,子宮,胆管,乳腺などの報告がある.血行性・リンパ行性の脈管性,播種性転移,直接浸潤の転移形式があり,脈管性は少ない.今回我々は,脈管性転移を疑う同時転移性大腸癌の2例を経験し,転移巣が狭窄を来していたため切除し術後に転移と診断した.しかし,狭窄を来さない段階では術前診断しえるかが治療方針を左右する.過去の報告例を集計し文献的に考察した.
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