演題

大腸脂肪肉腫・脂肪腫に対する外科的治療戦略

[演者] 住谷 大輔:1
[著者] 小島 康知:1, 井谷 史嗣:1, 原野 雅生:1, 中野 敢友:1, 佐藤 太祐:1, 丁田 泰宏:1, 松川 啓義:1, 塩崎 滋弘:1, 岡島 正純:1
1:広島市立広島市民病院 外科

(はじめに)大腸脂肪肉腫と脂肪腫は稀な疾患で,術前診断は時に困難で術式選択に検討を要する.今回,直腸と直腸間膜内に発生した多発性脂肪肉腫の1例と,S状結腸に発生した脂肪腫の1例を経験したので文献的考察とともに適切な術式を検討した.(症例1)40歳代,男性.主訴は下血.大腸内視鏡検査(以下:CS)で直腸RSに巨大SMT様隆起を指摘.生検で確定診断は判定不能であった.CT,MRI,PET-CTでRSの56mm大の境界明瞭な腫瘤(SUVmax 3.4)とRS左壁に接する65mm大の腫瘤(SUVmax 2.7)を指摘.RS腫瘍は粘膜下腫瘍,左壁腫瘍は播種疑いとの診断の元,腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行(血管処理・腸管授動を気腹下に施行,下腹部小切開追加後,直視下に直腸腫瘍と左壁腫瘍を一括切除した).病理で高分化型脂肪肉腫に,一部,脱分化型成分を含む脂肪肉腫と診断.現在,術後補助治療は施行せず経過観察中である.(症例2)50歳代,男性.主訴は血便.3年前にCSでS状結腸に12mm大SMT指摘.今回,再度CS施行しSMT病変が35mm大に増大していた.SMT頂部は決壊し凹凸不整で脂肪肉腫の可能性が否定できなかった.生検での確定診断は判定不能であった.CT,MRIでは脂肪腫が疑われ,PET-CTではSUVmax5.2の集積を認めた.脂肪腫もしくは脂肪肉腫疑いの診断の元,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行.病理で脂肪腫と診断された.(考察)脂肪肉腫の治療の第一選択は完全切除だが,腸管内脂肪肉腫は術前未確診な場合が多く脂肪腫や消化管間葉系腫瘍等との鑑別を要するため適切な術式を選択する必要がある.脂肪肉腫はSurgical marginが確保しづらく腫瘍被膜は腫瘍細胞よりなる偽被膜のため局所再発が高率に起こるとされる.さらに再発時も外科的切除が第一選択であるため,poly surgeryとなることが危惧され,初回手術は根治性を最優先しつつも低侵襲性を考慮することも重要と思われる.我々は以下の指針が適切と考える.①術前脂肪肉腫と診断可能な場合:開腹手術での広範囲切除.②症例1の如く術前未確診で,術中触診での切除範囲決定が必要な場合:腹腔鏡下操作+直視下操作.③症例2の如く未確診も単発性で術前に切除範囲が決定可能な場合:腹腔鏡下手術.(結語)大腸脂肪肉腫の可能性がある病変は,根治性と低侵襲性を考慮した術式を選択すべきである.
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