演題

一期的切除が困難であったが,化学療法が奏功した大腸悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)の2例

[演者] 佐野 貴之:1
[著者] 井合 哲:1, 市川 辰夫:1, 長 潔:1, 植田 守:1, 井上 豪:1, 浅沼 晃三:1, 栗原 唯生:1, 岸本 裕:1
1:埼玉協同病院 外科

大腸悪性リンパ腫は,消化管原発悪性リンパ腫の3~10%,大腸悪性腫瘍の0.3~0.66%程度と稀な疾患である.悪性リンパ腫,特にdiffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)の治療の主体はガイドライン上は化学療法であるが,Bulky massゆえに消化管通過障害を来して原発巣切除を行い,後に化学療法を実施し寛解を得た大腸悪性リンパ腫(DLBCL)の2症例を経験したので報告する.

症例1 59歳男性.心窩部痛,嘔気,体重減少で他院受診し,CTにて巨大な盲腸腫瘤認め当院紹介された.内視鏡検査にて回盲弁近傍に7cm大のType1腫瘍あり,ファイバー通過せず.生検にて大腸悪性リンパ腫の診断.術前CTにて傍大動脈周囲リンパ節転移所見も認めたが,腸閉塞懸念あり原発巣切除を施行(回盲部切除.リンパ節郭清は可及的).転移リンパ節が十二指腸へ浸潤しており,通過障害懸念して胃空腸バイパス術も追加した.病理:Diffuse large B cell lymphoma (DLBCL),Lugano分類にて臨床病期Ⅱ2E(十二指腸).術後,イレウス症状あり食事摂取不良であったが改善傾向となり,術後28日目よりR-CHOP療法(リツキシマブ,シクロフォスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)1クール目を導入.経過良好にて術後37日目に退院.以後化学療法を継続し,8クール実施.腫瘍は順調に縮小し,化学療法終了時には病巣消失し,その後8年間無再発生存中である.

症例2 74歳男性.便潜血検査陽性の精査目的に他院で注腸検査を施行したところ,直腸の腫瘍性狭窄のためにバリウム排出困難となり,当院に紹介された.内視鏡検査にて直腸Rs-aに径7cmのType2腫瘍あり,ファイバー通過せず.経肛門イレウス管を留置して洗浄し,バリウム便を排出.生検結果は悪性リンパ腫.術前MRIにて肝S8に転移病変を認めた.大腸亜閉塞状態のために手術を施行(低位前方切除術,prx-D3郭清).腫瘍は漿膜面露出あり,S状結腸への浸潤も認めた.病理;DLBCL,臨床病期Ⅱ2E(S状結腸,肝臓).術後,小腸イレウスを生じ経鼻イレウス管で減圧するも軽快せず.術後23日目に再手術を施行(骨盤内に小腸癒着し通過障害あり.癒着剥離を実施し,狭窄強い部分は回腸部分切除を施行).初回手術から45日後に退院.術後腸閉塞発症も踏まえてビンクリスチンの代わりにビンデシンを用いた,R-CHVP療法を6クール実施し,化学療法終了時の画像検査で肝転移消失を確認.その後3年間無再発生存中である.
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