演題

盲腸固定術後11年目に再発した盲腸軸捻転症の1例

[演者] 菅 淳:1
[著者] 瀬山 厚司:1, 吉峯 宗大:1, 林 雅規:1, 井上 隆:1, 守田 知明:1
1:周東総合病院 外科

【はじめに】盲腸軸捻転症は腸回転異常による移動盲腸に起因して発生し,腸管壊死の危険が伴う疾患である.結腸捻転のなかで占める割合は5.9%と比較的まれな疾患で,比較的若年者に発生するとされる.手術は,盲腸固定術,腸管切除などが選択される.腸管壊死があれば,腸管切除が選択されるが,壊死のない盲腸軸捻転症は,低侵襲な腸管固定術が選択される場合も多い.再発予防のために,腸管切除をすすめる報告もあるが,いずれの術式も長期的成績は不明である.我々は,壊死のない盲腸軸捻転症に対して,腹腔鏡下腸管固定術を行い良好な結果が得られたと報告した.奇しくも同症例で,術後11年目の再発を経験した.本症例の経過は壊死のない盲腸軸捻転症の術式選択の一助になりうると考えられるため報告する.【症例】55歳女性.下腹部痛を主訴に救急外来受診した.精査で盲腸軸捻転症と診断された.大腸内視鏡で整復が試みられたが困難であった.手術目的で当科紹介受診した.既往歴は11年前に移動盲腸に伴う盲腸軸捻転症に対して,腹腔鏡下盲腸固定術を施行した.盲腸から上行結腸を3針吸収糸で後腹膜に固定した.術後経過は良好であった.再発時の腹部所見は,下腹部に圧痛を認め著明に膨満していた.CT所見は,盲腸軸捻転症を認めたが明らかな壊死所見は認められなかった.手術所見は,盲腸は著明に拡張し漿膜が縦走に損傷していたが,壊死の所見は認めなかった.盲腸を中心として時計回りに720度回転していた.また11年前の盲腸から上行結腸の後腹膜への固定は解除されていた.再々発の危険と,腸管の漿膜損傷を認めた為,盲腸から上行結腸の一部を切除した.術後経過は良好で,術後11日に軽快退院した.【考察】盲腸軸捻転症に対して腸管を切除することは根治的ではあるが,回盲弁を切除することでの栄養学的な問題も無視できず安易な腸管切除はためらわれる.しかし本症例のように11年という経過ののち再発したことより,再発・腸管壊死の危険性を回避するため固定術より腸管切除が望ましいと考えられた.また本症例では再発時の手術所見で,11年前に固定した腸管の癒着が一切認めなかった.元々生理的な癒着がない移動盲腸を単純に結紮し固定しただけでは癒着が発生せず,固定が解除したことが原因と考えられた.もし仮に固定術を施行する場合には,固定箇所の増加,固定法の工夫,非吸収糸の使用などの対策が必要と考えられた.
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