演題

穿孔性腹膜炎に対して腹腔鏡手術が有用であった2症例の検討

[演者] 和田 英雄:1
[著者] 野中 隆:1, 山下 真理子:1, 富永 哲郎:1, 國崎 真己:1, 飛永 修一:1, 角田 順久:1, 日高 重和:1, 澤井 照光:1, 永安 武:1
1:長崎大学腫瘍外科

はじめに:消化器外科領域において腹腔鏡手術は適応が広がりつつあり,なかでも急性腹症に対する腹腔鏡手術の報告も増えつつある.
今回われわれは消化管穿孔に対する手術を腹腔鏡下に行った2症例を若干の文献的考察を加えて報告する.
症例1:71歳男性
近医にてTUR術前の前処置として浣腸を施行された際に直腸壁を損傷.腹部CTにて直腸壁に沿って後腹膜への遊離ガスを認め当院へ紹介.遊離腹腔内の汚染は反応性腹水のみであると考え腹腔鏡下の後腹膜ドレナージ術およびS状結腸人工肛門造設術(双孔式)を施行した.術後経過良好で術後14日目に退院.
症例2:78歳男性
血液透析にて近医に通院されていた患者.3日前より腹痛を認め徐々に増悪し腹部CT施行.回腸近傍に脂肪織濃度の上昇と遊離ガスを認め当院へ緊急搬送される.腹部所見上右下腹部を中心とした限局性の腹膜炎の所見で,腹部造影CTにてMeckel憩室の穿孔が疑われた.絶食・補液管理下にて抗生剤と制酸剤を用いて経過を追いつつ血液透析の調整を行い,第3病日に腹腔鏡下ドレナージ術およびMeckel憩室切除術を行った.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.
考察:前処置がなされていた医原性結腸穿孔に対する腹腔鏡下手術は良好な成績が多く,さらに汎発性腹膜炎や糞便性腹膜炎などの腹腔内汚染が高度な症例においても熟練した術者・チームで行えば良好な短期成績が期待できるとされている.一方,敗血症性ショックなどで循環動態や呼吸状態が不良の症例では,汚染物質の迅速な除去が重要であり,開腹手術を選択する必要がある.
まとめ:循環動態や呼吸状態などの全身状態がゆるせば,熟練したチームにおいて限局性の穿孔性腹膜炎に対する腹腔鏡を用いたアプローチはその診断と治療に有用である可能性がある.
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