演題

高齢者における大腸穿孔術後予後因子の検討

[演者] 北川 浩樹:1
[著者] 池田 拓広:1, 中島 亨:1, 加納 幹浩:1, 吉満 政義:1, 大森 一郎:1, 小橋 俊彦:1, 檜原 淳:1, 向田 秀則:1, 平林 直樹:1
1:広島市立安佐市民病院 外科

【はじめに】大腸穿孔による糞便性腹膜炎は敗血性ショック,播種性血管内凝固症候群,多臓器不全に陥り,現在においても致死率の高い疾患である.併存疾患の多く,体力の低下した高齢者が罹患することが多いため,今後さらに患者が増加することが予想される.また高齢者の場合,生存できたとしても長期臥床によりADLの低下が若年者よりも顕著であり自宅退院できないことが多い.
【目的】当院において手術を行った高齢者大腸穿孔患者における予後因子の検討を行い,当院における治療成績を検討し今後の課題を検討する.
【対象と方法】2007年1月から2016年12月までに当院において大腸穿孔に対して手術を行った70歳以上の患者67人を対象に後方視的検討を行った.在院死に対して年齢,性別,穿孔部位,穿孔原因,ASA-PS,Charlson Comorbidity Index (CCI),発症から手術までの時間,術前腹部CTを用いた大腰筋断面積,術前の動脈血液ガスにおけるBase Excess(BE)と乳酸値,術前のSequential Organ Failure Assessment (SOFA) score,術式,手術時間,出血量,septic shock,術直後のPhysiological and Operative Severity Score (OSS) for the quantification of mortality and morbidity (POSSUM) score,術中所見によるHinchey Classification,術後治療の項目で検討を行った.
【結果】在院死を13人(19.4%)に認め在院日数中央値は16日(8-43日)であった.穿孔部位や原因,術式,手術時間や出血量は在院死群と生存群で差はなかった.単変量解析では術前ASA (p<0.01),術前BE (p<0.02),septic shock (p<0.01),SOFA score (p<0.01),POSSUM score (p<0.01)が在院死と相関を認めた.また,80歳以上の生存群33人(術前自力歩行可能は20人)中,退院時に自力歩行可能であった症例は9例のみであった.自力歩行群はもともとADL自立していた患者が多く,術前の大腰筋断面積は優位に自力歩行群で高い結果であった.
【考察】POSSUM scoreやSOFA scoreは高齢者大腸穿孔においても予後予測に有用なscoreであり術前・術後の家族への病状説明に有用である.一方,これらのscoreに入らないASA-PSや術前BEも予後予測因子となりえると考えられた.救命できた高齢者を自宅退院できるよう早期からのリハビリ介入が必要であるが,自力歩行可能な予後予測因子として術前ADLに加え大腰筋断面積も有用であると考えられた.
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