演題

成人に発症した仙尾部奇形腫の2例

[演者] 加藤 俊一郎:1
[著者] 山口 智弘:1, 絹笠 祐介:1, 塩見 明生:1, 賀川 弘康:1, 山川 雄士:1, 杉浦 禎一:2, 坂東 悦郎:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:2
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【はじめに】仙尾部奇形腫は小児に多いものの成人発症はまれとされる.今回,成人に発症した仙尾部奇形腫の2例を経験したので文献的考察を加え報告する.
【症例】症例1は46歳女性.肛門周囲の張り・疼痛を自覚し前医受診.CTで仙尾部の110mm大の腫瘤を認め,CTガイド下針生検で腺癌が疑われ当院紹介となった.腹部所見異常なし.肛門周囲は膨隆し,柔らかく辺縁整な腫瘤を触知した.直腸診では肛門管上縁に同様の腫瘤を触知したが,肛門浸潤を疑う所見は認めなかった.血液生化学検査ではCEA 14.8ng/ml,CA19-9 347U/mlと上昇を認めたが,その他異常を認めなかった.骨盤造影CT・MRIでは直腸背側に140mm大の多房性嚢胞性腫瘤とその内部に造影効果を伴う充実性成分を認めた.周囲臓器への明らかな浸潤は認めなかったが,前医と比較し増大傾向を認めた.少量の腹水を認めたが,明らかなリンパ節腫大・遠隔転移は認めなかった.以上より悪性転化を伴ったdevelopmental cystまたは仙尾部奇形腫と術前診断し,経腹経仙骨的仙骨尾骨合併腫瘍摘出術,直腸切断術,会陰再建術を施行した.術後排尿障害を認めたが,術後11日目に退院となった.病理組織学的所見では毛髪や多列円柱線毛上皮,重層扁平上皮を認め,その内部に高~中分化に相当する腺癌細胞が増殖していた.以上より悪性転化を伴った成人仙尾部奇形腫と診断した.術後2年現在再発を認めていない.
症例2は56歳女性.肛門痛を主訴に前医受診し,直腸診で直腸後方の腫瘤を指摘され当院紹介となった.腹部所見異常なし.直腸診で直腸Rbの粘膜下に弾性軟の腫瘤を触知した.血液生化学検査ではCEA 7.3ng/ml,CA19-9 75U/mlと上昇を認めたが,その他異常を認めなかった.骨盤造影CT・MRIでは直腸背側に80mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた.壁の厚さは比較的均一で,内部の充実性成分や周囲臓器への明らかな浸潤は認めなかった.少量の腹水を認めたが,明らかなリンパ節腫大・遠隔転移は認めなかった.以上よりdevelopmental cystまたは仙尾部奇形腫と術前診断し,経仙骨的尾骨合併腫瘍摘出術を施行した.術後6日目に合併症なく退院となった.病理組織学的所見では異型のない重層扁平上皮,線毛上皮,粘液を含む円柱上皮で被覆された嚢胞と平滑筋・脂肪織を認め,成人仙尾部成熟奇形腫と診断した.術後2か月現在再発を認めていない.
詳細検索