演題

非閉塞性腸間膜虚血に対する手術症例9例の短期成績

[演者] 切畑屋 友希:1
[著者] 渡辺 明彦:1, 定光 ともみ:1, 富田 理子:1, 竹井 健:1, 中多 靖幸:1, 松阪 正訓:1, 向川 智英:1, 石川 博文:1, 高 済峯:1
1:奈良県立奈良病院 外科

【目的】非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)は腸管を栄養する動脈に器質的な閉塞が存在しないにもかかわらず,腸管に虚血・壊死をきたす疾患で,その死亡率は50-79%と予後不良の疾患である.今回当科で手術を行ったNOMIの短期成績について報告する.
【対象と方法】2008年4月から2016年11月の期間に当科で施行した手術のうち,術後診断がNOMIであった症例は9例であった.この9例について後方視的に検討を行った.
【結果】平均年齢は74.4(46-91)歳,男性6例,女性3例であった.既往歴は虚血性心疾患が3例(うち1例は不安定狭心症に対してカテーテル治療中にショック状態となり,ICU入室中であった),慢性心不全が1例,高血圧が2例で,3例はリスクと考えられる疾患の既往は認めなかった.術前にNOMIと診断した症例は6例で,他の3例の術前診断はイレウス,S状結腸捻転,大腸癌穿孔であった.画像診断はいずれも造影CTにより行い,血管造影が行われた症例はなかった.腸管切除後に1期的吻合を行ったものは5例で,他の4例は腸瘻を造設した.小腸大量切除が必要であった症例で,長期生存が得られたものは3例あり,平均の残存腸管は183.3㎝であったが,1例は一時的に術後吸収障害をきたした.術後30日以内の死亡は3例(33.3%)で,死因は肺炎による全身状態の悪化,急性大動脈解離,NOMIの再発などであった.
【考察】当科の方針としては,臨床所見と腹部造影CTで手術適応を判断し,手術に際しては可能な限り腸管を温存するように腸管の切除範囲を決めている.また,虚血の程度や範囲が重篤な場合には腸瘻造設を併施するようにしているが,現在の方針においては比較的良好な成績であると考えられる.また最近はICG蛍光法を用いて残存腸管の血流評価を行い,腸管の切離範囲を決定している.
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