演題
PA18-7
緊急手術を要したMeckel憩室に起因する急性腹症の3例 |
【緒言】Meckel憩室は胎生期に卵黄と中腸を連絡する卵黄腸管の遺残物が由来とされる先天奇形である.今回Meckel憩室に起因する異なる病態に対して緊急手術を施行した3例を経験したので報告する.【症例1】28歳,男性.腹痛を主訴に来院された.腹膜刺激症状を認め,造影CT検査で回腸漿膜に沿った気腫を認めた.Meckel憩室の穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.術中所見でMeckel憩室の穿孔と周囲の腸間膜に高度の炎症を認め,穿孔部位を含む小腸部分切除術を施行した.【症例2】28歳,男性.心窩部痛を主訴に来院され,CT検査で小腸の重積および先進部の腫瘤影を認めた.腸重積の診断で緊急手術を施行した.術中所見でMeckel憩室が腸管内に反転し同部位に起因した腸重積を来していた.Meckel憩室を含む小腸部分切除術を施行した.【症例3】47歳,女性.心窩部痛および下痢を主訴に来院され,造影CT検査で小腸の拡張を認め腸閉塞の診断となった.腹膜刺激症状を伴っていたことから緊急手術の方針となった.術中所見でMeckel憩室に腸間膜が癒着し同部位を起点とした腸捻転による腸閉塞を来していたため癒着剥離術を施行した.【考察】Meckel憩室はもっとも頻度の高い消化管先天奇形といわれ,全人口の2%程が有しているとされるが無症状で経過するものが多い.しかし稀に出血,腸閉塞,憩室炎,穿孔などの病態を呈し緊急手術の適応となる疾患である.若年成人の急性腹症の鑑別診断としてMeckel憩室の存在を念頭におく必要がある.