演題

回腸憩室穿孔の3例

[演者] 小関 佑介:1
[著者] 大島 健志:1, 北嶋 諒:1, 佐藤 真輔:1, 渡邉 昌也:1, 大端 考:1, 金本 秀行:1, 大場 範行:1, 高木 正和:1
1:静岡県立総合病院 外科

小腸憩室はまれな疾患であり,なかでも回腸憩室は極めてまれである.多くは無症状で経過するが,穿通や穿孔を生じた場合はしばしば緊急手術が必要となる.
今回われわれは回腸憩室穿孔を3例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は全例男性,平均年齢は81歳,初発症状は右下腹部痛1例,上腹部痛1例,意識障害1例であった.腹部理学所見で腹膜刺激症状を伴った症例は2例であった.腹部CT検査で遊離ガスを認めたものは2例であった.術前診断は回腸憩室炎1例,結腸穿孔1例,虫垂穿孔1例であった.
2例は緊急で開腹手術を行い,1例は抗生剤による保存的治療後に腹腔鏡下に手術を行った.術式は全例回盲部切除術を施行した.平均手術時間は2時間11分であった.
病理組織学的所見では,全例において回腸に多発する憩室を認め,穿孔部位は回盲弁から5cm以内の回腸末端であった.遊離腹腔側に穿孔していると考えられたものは2例であり,1例は憩室と膿瘍が連続しており,憩室穿孔による膿瘍形成が疑われた.
平均入院期間は24日間で,全例独歩退院した.
小腸穿孔は腹部CT検査における遊離ガス像の検出率は低く,好発年齢が高齢であるため理学的所見も非典型的であり,術前診断は極めて困難とされる.また回腸憩室穿孔は回腸末端に発生することが多く,虫垂炎や結腸憩室炎等との鑑別が困難であるといわれている.
一方で小腸憩室は,穿孔を生じた際の致死率は高いとの報告もある.
最近では消化管穿孔の術前診断の際に,腹腔鏡による観察が有用であるといわれている.腹腔鏡の使用で確定診断が得られ,かつ低侵襲な治療を行うことも可能であると考えられる.
消化管穿孔を疑った際は,本症も念頭におき,診断,治療を行うことが重要である.
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