演題

大量出血を来した超高齢者の回腸真性憩室の1例

[演者] 西田 孝宏:1
[著者] 川本 潤:1, 坂本 敏哉:1
1:佐々木研究所附属杏雲堂病院 外科

症例は93歳女性.突然の下血を主訴に当院初診した.腹部所見なく,直腸診で暗血性の血液を中等量認め,腹部単純CTでは大腸から回腸にかけて多数の憩室を認めた.Vital signに異常所見なく,採血にてHb11.2と貧血を認めず,大腸憩室出血の疑いにて同日緊急入院となった.入院翌日に再度腹痛を伴わない大量の下血あり,採血にてHbが3程度の低下を認めた.造影CTにて造影剤の漏出所見は認められなかったが,Ileum endから約20cmの回腸末端の憩室に炎症像を認め,回腸憩室からの出血が疑われた.同日大腸カメラ施行したが,大腸に凝血塊を認めるも出血源はなく,回腸終末部に鮮血を認めたが,CTで指摘された回腸憩室まで到達できず,出血源は同定できなかった.以上より回腸憩室出血の診断にて,準緊急的に腹腔鏡下手術を施行した.術中所見では回腸腸間膜付着側に多数の憩室を認め,回腸末端より約15cmの部位の憩室が責任病変と判断,回盲部を授動後,腹腔外で約11cmの回腸を切除した.切除標本では回腸壁ほぼ全体に多数の憩室が形成され,多くの憩室が固有筋層を伴った真性憩室であった.一部が好中球を伴った炎症性細胞の浸潤と凝血を認め,同部位からの出血と診断された.術後経過は良好で,下血は認めず,術後18日目に退院となった.

小腸憩室はMeckel憩室を除くとほとんどが仮性憩室であり,真性憩室はまれな疾患である.中でも小腸真性憩室からの出血例は自験例を含めると3例しか報告例がなく大変まれな疾患であるが,2例とも空腸真性憩室からの出血であった.回腸真性憩室からの出血の報告例は本症例が初めてであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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