演題

内翻したMeckel憩室を先進部とする腸重積を繰り返した成人の1例

[演者] 福島 啓介:1
[著者] 今野 文博:1, 神波 力也:1, 高橋 雄大:1, 安斎 実:1, 菅原 宏文:1, 三輪 佐和:1, 高橋 梢:1, 山田 修平:1, 並木 健二:1
1:大崎市民病院 外科

症例は51歳,男性.腹部手術歴はなかったが,33歳から48歳ころにかけ,腸閉塞の診断にて他院に5回ほどの入院歴があった.50歳時に腹痛・嘔吐を主訴に当院へ救急搬送となり,その際の腹部造影CT検査にて,回腸内に脂肪成分を含む10mmほどの結節を認め,その部位での腸重積を原因とする腸閉塞の状態であった.保存的加療にて速やかに改善し退院.その後,経肛門的小腸内視鏡にて精査したが,観察し得る範囲内に病変は確認されなかった.退院後約3か月で再び腸閉塞を発症し入院.CT所見は前回同様であり,やはり保存的加療にて改善し退院したが,10日間の入院を要した.その後に施行した小腸透視検査にて,蠕動と共に移動する細長い物体を回腸内に認め,突出型の粘膜下腫瘍や内翻したMeckel憩室の存在が疑われた.腸閉塞を繰り返しており,診断と治療を兼ね腹腔鏡下に切除を施行した.回腸末端から約100cm口側の部位に腸管同士の癒着と白色調の瘢痕性変化を認め,その部位を含む小腸部分切除を行った.腸管の内腔には幅15mm,長さ70mm大の陰茎様腫瘤が突出しており,先端はやや硬く肥大し暗赤色調を呈していた.病理組織学的に固有筋層を有した真性憩室の内翻と考えられたが,異所性胃粘膜や膵組織は認めなかった.また,先端部の粘膜下層には石灰化の存在が目立っていた.腸間膜付着部対側に存在し,内翻起始部にKerckringひだ様の輪状ひだを認める点も,Meckel憩室の内翻に特徴的な所見として捉えることができた.術後経過は良好で第5病日に退院し,その後は腸閉塞の発症はみられていない.腸重積の発症は乳幼児に多く,成人においては全ての腸重積症例の10%以下と比較的まれであり,その大半では腫瘍性病変が背景に存在している.今回の症例のように,Meckel憩室が誘引となったものは,成人発症例の中の3.3~5%と報告されており,非常に珍しい病態であると考えられる.診断と治療に加え,Meckel憩室が内翻する機序やそのサイズ,異所性組織の有無との関連性など,文献的考察を加え報告する.
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