演題

急性虫垂炎を契機に発見された回腸異所性胃粘膜を先進部とした成人腸重積の一例

[演者] 橋本 憲輝:1
[著者] 長谷川 博康:1, 小佐々 博明:1
1:小郡第一総合病院 外科

【症例】27歳,男性.【主訴】右下腹部痛.【現病歴】2日前から心窩部痛が出現し,近医にて内服加療された.腹痛が右下腹部に移動し改善しないため,当院救急外来を受診した.【既往歴】出生時より健康で特記事項なし.【身体所見】腹部:全体的には平坦,軟で腫瘤は触知せず.McBurney点に限局した圧痛,反跳痛を認めた.【血液検査】CRP 4.5mg/dl,WBC 7280/μl.【腹部X-p.】小腸拡張像や鏡面像などイレウスの所見は認めず.【腹部造影CT検査】右下腹部の小腸にTarget signを認めた.同部位の腸管の造影効果は良好で,口側の消化管に拡張は認めず,遊離ガスや腹水もなし.また虫垂に腫大,周囲脂肪織濃度上昇を認め,内部に糞石あり.【診断】急性虫垂炎を伴う回腸重積と診断し,緊急手術を施行した.【手術所見】回腸末端から65~135cmの間に計3ヶ所,散在する瘤状の回腸を確認.いずれも漿膜面に変化はなかったが,内腔に腫瘤を触知.最口側は重積を認め,用手的な解除は容易であった.Treitz靭帯までの全小腸を検索も,他の部位には憩室や腫瘤を認めず.また虫垂には明らかな発赤,腫大を認めた.【術式】回腸部分切除+虫垂切徐術【摘出標本】回腸:腸管膜対側に最大径7.0cmの表面平滑で,太い脳回様巨大雛壁を伴う隆起が3ヶ所存在し,肉眼的に胃粘膜が疑われた.虫垂:蜂窩織炎性程度の炎症所見を認め,内部に糞石あり.【病理組織学的検査】回腸:多発異所性胃粘膜(MUC6(+),MUC5AC(+),MUC1(-),MUC2(-)).検体内にMeckel憩室を認めず.悪性所見なし.虫垂:蜂窩織炎性虫垂炎.【術後経過】合併症を認めず術後11日目に軽快退院.【考察】一般的に腸重積は2歳以下の小児に好発し,約85%は器質的な原因を認めない特発性である.一方,成人の腸重積では約90%に器質的疾患を有し,Meckel憩室が先進部であることが多い.また,Meckel憩室の50%に異所性胃粘膜を伴うとされる.われわれは腸重積の随伴症状が目立たず,急性虫垂炎の症状を契機に発見された成人腸重積の一例を経験した.Meckel憩室を伴わない多発回腸異所性胃粘膜,およびそれらが原因となり成人で発症した腸重積は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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