演題

WS07-5

胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)を粘液産生の有無で区別する臨床的意義

[演者] 水間 正道:1
[著者] 森川 孝則:1, 高舘 達之:1, 大塚 英郎:1, 坂田 直昭:1, 林 洋毅:1, 中川 圭:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

<目的>胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は,粘液を豊富に産生し各種術前検査で粘液産生が確認されるものがあるが,その一方で粘液産生の乏しいものもあり,これらは病態が異なる可能性がある.今回,臨床的に粘液産生を有するIPNBの臨床病理学的特徴を検討し,粘液産生でIPNBを区別することの臨床的意義を明らかにすることを目的とした.<対象と方法>1999年1月から2016年12月までに当科にて切除したIPNB症例37例を対象とした.男性23例,女性11例.平均年齢67.4歳(37-82),観察期間中央値は57.9ヶ月.臨床的(肉眼的)に粘液産生を認めた群(mucin群:12例)と,臨床的に粘液産生を認めなかった群(non-mucin群25例)の2群に分けて,浸潤度,リンパ節転移,予後について比較検討した.<結果>年齢はmucin群が68.8±7.9歳,non-mucin群が66.8±10.5 で有意差なく(p=0.7825),性別(男:女)でもmucin群が9例:3例,non-mucin群が15例:10例で有意差はなかった (p=0.3709).肝内外の発生部位においては,mucin群で肝内/肝外が10例(83.3%)/2例(16.7%),non-mucin群で7例(28.0%)/18例(72.0%)であり,mucin群に肝内発生例が有意に多かった(p=0.0016).悪性度においては,low -or intermediate-gradeは両群どちらもおらず,high-grade(carcinoma-in-situ)はmucin群で10例(83.3%),non-mucin群で9例(36.0%),an associated invasive carcinomaはmucin群で2例(16.7% ),non-mucin群で16例(64.0%)であり,mucin群で有意にhigh-grade が多かった(p=0.0070).リンパ節転移はmucin群では認められず,non-mucin群では5例(20.0%)に認められた(p=0.0957).疾患特異的5年生存率は,mucin群が100%,non-mucin群が69.8%で,mucin群は有意に予後良好であった(p=0.0439).無再発5年生存率は,mucin群が77.1%,non-mucin群が60.7%であり,有意ではないがmucin群で良好な傾向にあった(p=0.2206).再発はmucin群で2例(肝1例,異時性肝内IPNB発生1例),non-mucin群10例(局所・腹腔内リンパ節2例,肝2例,腹膜3例,肺2例,骨1例,脳1例,重複あり)で,有意差はないがnon-mucin群で再発が多い傾向にあった(p=0.1558).<考察>臨床的に粘液を産生するIPNBは,非浸潤癌が多くリンパ節転移もなく予後良好であり,リンパ節の郭清範囲は縮小可能である.したがって,実臨床ではIPNBは臨床的な粘液産生の有無で区別するべきである.
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