演題

PP16-6

肝切除周術期管理におけるERASの導入とその評価

[演者] 辻本 成範:1
[著者] 北東 大督:1, 野見 武男:1, 安田 里司:1, 川口 千尋:1, 吉川 高宏:1, 石岡 興平:1, 山田 高嗣:1, 赤堀 宇広:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学

【緒言】 当科は2013年1月に肝切除の周術期管理をERASの概念に基づき変更し,その評価について報告してきた.当科の肝切除周術期管理の変遷と現状,及びその評価について報告する.【対象】 2008年3月から2016年4月までの当科の胆道再建を伴わない肝切除472症例.肝細胞癌:299例,大腸癌肝転移:140例,その他:33例.開腹手術:400例,腹腔鏡下手術:72例.ERAS導入以前:246例,ERAS導入以降:226例.【腸管前処置の省略】 大腸癌の同時切除や高度癒着が予想される症例を除いて術前腸管処置を省略した.腸管前処置の有無で術後イレウス,SSI発生率,術後肝不全発生率に有意差は認めなかった.【ドレーン早期抜去】 従来,ドレーン抜去は術者の主観で決定していたが,術後3日目に排液ビリルビン値が血清ビリルビンの3倍以下かつ排液量500ml以下ならドレーンを抜去することとした.抜去基準の導入後,ドレーン抜去日は有意に短縮した(中央値5→3日,P<0.001).一方ドレーン抜去後に経皮ドレナージや抗生剤加療を必要とした症例の割合に有意差はなかった.【真皮縫合の導入】 抜糸・抜鉤を省略するため皮膚縫合を真皮縫合(4-0 V-LOC)にて行うようにした.皮膚閉創時間は有意に延長(3.6→12.8分,P<0.001)したが,表皮/深層SSIの発生に有意差は認めなかった.【セレコキシブ定期内服】 術後鎮痛のため,POD1よりセレコキシブの定期内服を行うようにした(POD1: 600mg,POD2-7: 400mg).内服の導入前後で,術後肝不全・SSI・胆汁漏の発症率に有意差なく,上部消化管出血・急性腎不全の発症率にも有意差はなかった.【術後在院日数】 術後在院日数の中央値は13日から9日と有意に短縮した(p<0.001).【結語】 ERASの概念に基づく肝切除後周術期管理の変更により,合併症を増加させず術後在院日数を短縮することができた.
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