演題

PP16-5

後区域腫瘍に対する尾側(Caudal)アプローチと体位変換を利用した腹腔鏡下肝切除

[演者] 伊勢谷 昌志:1
[著者] 守瀬 善一:2, 河合 永季:1, 大城 友有子:1, 清水 健太郎:1, 伊藤 良太郎:1, 浅野 之夫:1, 荒川 敏:1, 川辺 則彦:1, 堀口 明彦:1
1:藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 外科, 2:藤田保健衛生大学病院 外科

われわれは腹腔鏡下肝切除(LLR)におけるCaudal approachの概念を提唱し,肝授動をせず切除肝を後腹壁に固定し,左半側臥位で重力により残肝を左に落として肝離断面を展開する "肝非脱転尾側アプローチ肝後区域LLR"を報告した(World J Gastrointest Surg. 2013;5(6):173-7).後区域腫瘍に対する肝切除では,この部位が仰臥位腹腔内の最底部に当り,離断面が水平,重量・容積の大きな右葉が腹側に存在し肝離断面展開が不良となり易いが,LLRの特性を生かした体位変換により切除部を腹腔内高位に移動させることにより,安全に出血controlを行える良好な視野確保が可能となる.
完全腹腔鏡下LLR135例(肝細胞癌77例,系統切除49例,繰り返し肝切除26例)の手術時間,出血量平均値は337分,360mlで,開腹移行2例・HALS移行1例,Grade II以上の合併症12例であった.35例で後区域腫瘍の切除を施行し,2011年8月以降主に後区域切除に対する左側臥位・S7亜区域切除やS7及びS6深部の部分切除に対する左半腹臥位などの体位変換を積極的に導入している.体位変換導入前12例と後23例の周術期成績を比較すると,手術時間460+/-256:326+/-130分,出血量1070+/-1240:266+/-390ml,術後在院日数19+/-7:17+/-7日,開腹移行1/12:0/23,合併症1/12:0/23であり,前期には肝離断面の展開に難渋し,他部位症例に比較して手術時間延長・出血量増加を経験していたが,後期にはこれらが著明に改善し他部位腫瘍とほぼ同等の周術期成績が得られた.また,以前よりS7腫瘍に対するLLRにおいては亜区域切除や部分切除よりも離断面が尾頭側方向の平面となる右葉切除・後区域切除が多く行われていることが報告されているが(Ann Surg. 2009;250(5):849-855),S7亜区域切除やS7及びS6深部部分切除への対応もこの体位変換により容易になったと感じている.
LLRでは,体位変換が容易で重力を利用した視野展開・剥離操作が可能となり,尾頭側方向の視野の中で肝背側が良好に観察できる.左側臥位後区域切除に加え,S7亜区域切除およびS7・S6深部の部分切除では左半腹臥位とすることで,S6尾側が重力により視野の下方に排除されて同部での安定した視野確保・手術操作が可能になる.
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