演題

PP16-4

肝嚢胞に対する腹腔鏡下開窓術の治療成績

[演者] 工藤 亮:1
[著者] 西川 泰代:1, 安 英男:1, 川口 清貴:1, 神頭 聡:1, 濱洲 晋哉:1, 小西 小百合:1, 西躰 隆太:1, 間中 大:1
1:京都桂病院 消化器センター・外科

【はじめに】肝嚢胞は無症状に経過することが多く,治療を要する症例は少ないが,嚢胞の増大に伴い疼痛・腹部膨満感,圧迫による摂食不良や通過障害などの症状が認められた場合には治療対象となる.近年では治療法として,腹腔鏡下肝嚢胞開窓術が普及しつつある.今回,当科で腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した症例の治療成績について検討した.
【方法】2011年以降,腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した13例を対象とした.
【結果】症例は女性10例,男性3例で,年齢は中央値75歳(58-90歳)であった.主訴は腹痛・腹部膨満感が8例,下肢浮腫が3例(重複あり),内科的治療後の再増大が3例(重複あり)であった.病変の占居部位は右葉14病変,左葉4病変(重複あり)で,最大径の中央値は15.9cm(9.5-25cm)であった.手術時間は中央値93分(55-191分)で,うち4例は単孔式で施行し得た.肝実質に切り込まない範囲で嚢胞壁を可能な限り切除し,残存嚢胞壁の焼灼は行っていない.いずれも術後合併症はなく,病理診断で悪性所見を認めた症例はなかった.術後のフォローについては観察期間の中央値は1.4年(0.1-4.4年)であり,1例(外側区域)のみ開窓後の再増大を認めており,経過観察中である.
【考察】肝嚢胞に対する内科的治療として,穿刺ドレナージに加えエタノール注入,塩酸ミノサイクリン注入療法が行われてきた.これらは簡便で低侵襲ではあるが,反復注入を要し,治療無効例があることや再発率が高いことが欠点であった.外科的治療である嚢胞開窓術は治療効果が高く,近年ではより低侵襲である腹腔鏡下開窓術が普及しつつある.当科ではあらゆる領域で腹腔鏡手術を積極的に行っており,肝嚢胞についても治療対象となった時点で腹腔鏡下開窓術を第一選択としている.術前に画像検査で悪性所見がないこと,胆管との交通がないことを精査して手術に臨み,術中操作では,肝実質に切り込んで近接するグリソンや血管を損傷しない範囲で最大限に嚢胞壁を切除することを心がけている.開窓後の再発は術後の癒着により開窓部位が閉鎖されることが原因と考えられており,今後は開窓部位への癒着防止剤(セプラフィルム等)の使用も検討している.
【結語】治療対象となる肝嚢胞に対する腹腔鏡下開窓術は安全に施行でき,治療成績も良好で有用な治療であると考えられる.今後は再発を減らすための術後の癒着軽減策について,前向きに検討していきたい.
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