演題

PP16-1

肝硬化性血管腫の画像診断-DWI-MRIのADC値を中心に

[演者] 藏元 一崇:1,2
[著者] 別府 透:1,2, 宮田 辰徳:2, 古閑 悠輝:1,2, 今井 克憲:2, 宮村 俊一:1, 山下 洋市:2, 浪本 智弘:3, 山下 康行:3, 馬場 秀夫:2
1:山鹿市民医療センター 外科, 2:熊本大学附属病院 消化器外科, 3:熊本大学医学部 総合医薬科学部門生体機能病態学講座(放射線治療医学分野)

【はじめに】肝硬化型血管腫は極めてまれな疾患であり,その発生頻度は剖検例の0.2%と報告されている.肝硬化型血管腫は,肝海綿状血管腫の内部に線維化や硝子化変性をきたすため,変性の程度によって画像所見は多彩である.持続性の造影効果に加えて収縮傾向があるために,肝内胆管癌や転移性肝癌を疑われて切除され,術後に確定診断される場合が多いとされている.今回,肝硬化型血管腫の鑑別診断に役立つ所見を検討したので報告する.【対象】組織学的に肝硬化型血管腫と診断された5例の術前の血液データ,画像所見,切除標本の病理所見を詳細に解析した.【結果】1. 年齢は63 (34~79) 歳,男性4名,女性1名であった.B型肝炎を2例に認めた.術前腫瘍マーカー (AFP,CEA,CA19-9) はいずれも基準値範囲内であった.2. 腫瘍径は27 (6~148) mm,存在部位は全例右肝であり,通常型の肝海綿状肝血管腫の併存を3例に認めた.3. 術前に肝硬化型血管腫を疑って切除したのは2例のみであった.4. 3例で肝表面の腫瘍部に明らかな収縮傾向を認めた.5. Dynamic CTでは,全例において辺縁は不整で,単純相で低吸収域を呈し,動脈相での非変性部の不均一な造影効果と門脈相での濃染の持続を認めた.通常型肝血管腫に特徴的な綿花状の濃染ははっきりしなかった.6. EOB-MRIでは全例で脂肪化はなく,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈したが,通常型肝血管腫に特徴的な極めて高い信号ははっきりしなかった.Dynamic studyで内部が不均一に造影され,遅延相まで造影効果を認めた.肝細胞相では腫瘍全体が低信号を呈した.腫瘍の中に造影効果の乏しい様々な範囲の変性部を認めた.MRI拡散強調画像におけるみかけの拡散係数を数値化したADC (apparent diffusion coefficient) 値は,変性部においても2.09 (1.76~2.74) と極めて高く,腫瘍部の2.05 (1.92~3.18)とほぼ同等であった.7.病理組織学的には,退行変性による線維化や硝子性変化を認めたが,変性部位にも小型血管の増生が存在した.【まとめ】肝硬化型血管腫は,他部位に通常型肝海綿状血管腫を60%の頻度で合併した.変性の程度や範囲により多彩な画像所見を呈するが,腫瘍内の変性部位がT2強調像で腫瘍と同程度の高信号を呈し,かつDWI-MRIのADC値が1.7以上と極めて高いことに着目すれば,鑑別診断が可能なことが示唆された.今後の症例集積とさらなる解析が必要と考えられる.
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