演題

PP15-1

系統的肝切除術における出血量軽減の工夫

[演者] 五十嵐 隆通:1,2
[著者] 新木 健一郎:1,2, 山中 崇弘:1,2, 石井 範洋:1,2, 塚越 真梨子:1,2, 渡辺 亮:1,2, 久保 憲生:1,2, 調 憲:1,2, 桑野 博行:2
1:群馬大学大学院 肝胆膵外科学, 2:群馬大学附属病院 外科診療センター

【背景と目的】肝離断時には間欠的肝流入血遮断法(Pringle法)が一般に行われるが,虚血再灌流障害が課題となる.当科では肝離断時の出血量を軽減するため,2015年11月よりPringle法に加え,肝下部下大静脈遮断(IVCクランプ)を併用している.系統的肝切除では静脈出血が主となるため,IVCクランプとHanging maneuverの併用でPringle法が省略可能となる症例も存在する.今回右葉切除および後区域切除における上記手技と手術成績について報告する.
【対象】2012年1月から2016年9月に当科で施行した右葉切除術または後区域切除術26例.
【方法】肝離断中にPringle法(15分遮断,5分開放)を常時併用した17例(A群)とPringle法を最小限(15分以下)併用した9例(B群)(併用なし:3例,併用15分以下:6例,平均併用時間7分)について,その成績を比較検討した.
【手術手技】肝十二指腸間膜をテーピングし,Pringle法に備える.Kocherの授動および右葉の授動を行った後,肝静脈・下大静脈流入部で肝静脈をテーピングする.右葉切除では同部から肝門部グリソン鞘背側にテープを通しHanging maneuverに用いる.エコーで切離ラインを決定,肝下部下大静脈をテーピングし,血流遮断後に離断を開始する.
【結果】右葉切除術と後区域切除術の内訳はA群10:7,B群7:2で,年齢・性・BMI・ICG15R・原疾患・術式において両群に有意差はなかった.出血量はA群668±404ml,B群186±133mlとB群で有意に少なかった(p<0.01).手術時間はA群382±99分,B群381±113分,術後在院日数は,A群14.9±5.8日,B群13.8±3.5日と両群に有意差はなかった.Clavien-Dindo grade III以上の術後合併症をA群の1例(5.9%)に認め,B群では認めなかった.
【結語】IVCクランプとHanging maneuver併用による系統的肝切除では,Pringle法を最小限とすることが可能で,手術成績も許容し得るものであった.さらなる症例の蓄積が必要であるが,肝切除における出血量軽減に寄与する手技と考え報告する.
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