演題

PP14-7

血中TSP-1は肝切除後の肝障害および肝機能を予測する因子として有用である

[演者] 黒木 秀幸:1
[著者] 林 洋光:1, 中川 茂樹:1, 東 孝暁:1, 坂本 慶太:1, 山下 洋市:1, 別府 透:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

背景:肝切除術は肝細胞癌,転移性管腫瘍を含む肝腫瘍に対する根治的な治療法として行われている.肝切除後の残肝再生遅延は重大な合併症となり得るが,根本的な治療方法は未だ開発されていない.われわれはTGF-β活性化因子として知られるThrombospondin-1 (TSP-1)が肝切除後早期に誘導されTGF-β-Smadシグナルを活性化することで肝再生を負に制御することをin vivoで明らかにした(Hepatology 2012).
目的:血中のTSP-1発現レベルが術後の臨床的因子に与える影響を検討する.
方法:肝腫瘍にて肝切除術を施行した30症例の術前,術直後,術後1,3,5,7日目に採取した血漿を用いて,血中のTSP-1をELISA法を用いて測定した.TSP-1の変化量を肝障害マーカー,臨床病理学的因子との比較を行った.
結果:TSP-1血中濃度は周術期で術後1日目に最も低下した.術前から術後1日目のTSP-1の変化量をΔTSP-1(POD1-Pre)とし,総ビリルビン,ALT,プロトロンビン活性(%)の変化と比較した.ΔTSP-1(POD1-Pre)はΔT-bilirubin (POD3-Pre) 高値群(≧1.5mg/dL),ΔALT (POD3-Pre) 高値群(≧550U/L)はそれぞれの低値群と比較して有意に上昇していた(p=0.0186 ,p=0.0430).また,ΔPT (POD7-Pre) 低値群(<-24%)では高値群(≧-24%)に比較して,ΔTSP-1(POD1-Pre)は有意に上昇していた(p = 0.042).
結論:ΔTSP-1(POD1-Pre)は肝切除後3日目の肝障害と正の相関があり,術後7日のプロトロンビン活性と負の相関を認めた.術後1日目のTSP-1の減少が術後肝障害および肝機能改善を予測する因子になりうる.
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