演題
PP14-4
肝切除クリニカルパスへのERASの導入 |
近年周術期管理においてERAS (Enhanced Recovery After Surgery)の重要性が広く知られるようになっており,当院でも2015年より大腸癌手術のクリニカルパスにERASが導入されている.今回我々は,2016年10月より肝切除術のクリニカルパスに対してERASを導入したので,導入における取り組みおよび治療成績について報告する.
まずERASの導入にあたり3ヶ月の準備期間を設けて麻酔科医や看護師,薬剤師,栄養管理士,理学療養士など多職種と検討を重ねた.対象症例については胆道再建を要する症例,上腹部の高度癒着が予想される症例を除外した.大腸手術のERASを参考とし,術中術後の過剰輸液の防止および術後疼痛のコントロール,PONV (Postoperative nausea and vomiting)の防止が特に重要と考え,エレンタールによる術前経口投与をした状態で手術に臨み,術中輸液管理は出血分を人工膠質液または血液製剤で補い,フロートラックを併用してGDT (Goal directed therapy)を施行した.また術後7日間は毎日体重を測定し,体重が術前より1kg以上増加した場合にはフロセミドを経口投与してゼロバランスを目指した.一方,鎮痛および制吐に対しては硬膜外麻酔からフェンタニルおよびドロレプタンを,術中にステロイドを投与,手術終了直前より6時間毎にアセトアミノフェンを各1g静注した上で,症状に応じて硬膜外麻酔の投与量を調整して対応した.さらに術前ERAS外来を設けて入院前からパンフレットを用いて患者教育を開始した.また早期離床をすすめるために術前からリハビリ介入し,帰室後は覚醒していればギャッジアップした上で水,茶の摂取可とした.さらに翌日より水分摂取フリーとし,尿道カテーテルも術翌日に抜去とした.粥食の開始を開腹肝切除は術後2日目から,腹腔鏡下肝切除は術翌日から開始することで,点滴期間も開腹肝切除は手術室入室時から術後2日まで,腹腔鏡下肝切除は術翌日までにした.胃管カテーテルは以前より手術終了時に抜去していたが,ドレーンも術後2日目に抜去して早期ラインフリーを実現するようにした.
ERASパスを導入して開腹肝切除を4例,腹腔鏡下肝切除を3例経験したが,術後在院日数は各々平均9日,7.3日で合併症もなく,従来パスの設定日数(術後12-14日)と比較しても良好な成績であった.
肝臓手術にERASを導入することによって患者QOLやアウトカムの向上が期待される.
まずERASの導入にあたり3ヶ月の準備期間を設けて麻酔科医や看護師,薬剤師,栄養管理士,理学療養士など多職種と検討を重ねた.対象症例については胆道再建を要する症例,上腹部の高度癒着が予想される症例を除外した.大腸手術のERASを参考とし,術中術後の過剰輸液の防止および術後疼痛のコントロール,PONV (Postoperative nausea and vomiting)の防止が特に重要と考え,エレンタールによる術前経口投与をした状態で手術に臨み,術中輸液管理は出血分を人工膠質液または血液製剤で補い,フロートラックを併用してGDT (Goal directed therapy)を施行した.また術後7日間は毎日体重を測定し,体重が術前より1kg以上増加した場合にはフロセミドを経口投与してゼロバランスを目指した.一方,鎮痛および制吐に対しては硬膜外麻酔からフェンタニルおよびドロレプタンを,術中にステロイドを投与,手術終了直前より6時間毎にアセトアミノフェンを各1g静注した上で,症状に応じて硬膜外麻酔の投与量を調整して対応した.さらに術前ERAS外来を設けて入院前からパンフレットを用いて患者教育を開始した.また早期離床をすすめるために術前からリハビリ介入し,帰室後は覚醒していればギャッジアップした上で水,茶の摂取可とした.さらに翌日より水分摂取フリーとし,尿道カテーテルも術翌日に抜去とした.粥食の開始を開腹肝切除は術後2日目から,腹腔鏡下肝切除は術翌日から開始することで,点滴期間も開腹肝切除は手術室入室時から術後2日まで,腹腔鏡下肝切除は術翌日までにした.胃管カテーテルは以前より手術終了時に抜去していたが,ドレーンも術後2日目に抜去して早期ラインフリーを実現するようにした.
ERASパスを導入して開腹肝切除を4例,腹腔鏡下肝切除を3例経験したが,術後在院日数は各々平均9日,7.3日で合併症もなく,従来パスの設定日数(術後12-14日)と比較しても良好な成績であった.
肝臓手術にERASを導入することによって患者QOLやアウトカムの向上が期待される.