演題

PP14-2

肝切除術後の胃排出遅延について

[演者] 片岡 雅章:1
[著者] 海保 隆:1, 柳澤 真司:1, 西村 真樹:1, 小林 壮一:1, 岡庭 輝:1, 須田 竜一郎:1, 代市 拓也:1, 新村 兼康:2
1:国保直営総合病院君津中央病院 外科, 2:さいたま赤十字病院 外科

胃排出遅延(DGE)は機械的閉塞がないにもかかわらず胃内容の排出が遷延する状態で,肝切除術後にもしばしば経験され,特に左側肝切除術後に多いとされる.当科での肝切除術後のDGEの頻度について,術式別に検討した.
対象;2012年1月から2016年11月まで当科で施行した肝切除術は169例で,区域切除以上は70例であった.ここから消化管同時切除例12例を除いた58例から,術後胆汁瘻4例,腸閉塞2例の合併症例を除外した52例を対象とした.これを右側肝切除群(R群),中央肝切除群(C群),左側肝切除群(L群)に分けて,術後DGEの発生について検討した.DGEの基準は,術後4日目以降も胃管を要したものや胃管の再挿入を要したもの,または術後1週間以降で吐き気などから十分な食事が摂取できない症例とした.
結果;R群は21例(後区域5例,拡大後区域6例,右葉7例,右3区域1例,拡大右葉+胆管切除2例),L群は17例(外側区域9例,左葉5例,拡大左葉+胆管切除3例),M群は14例(内側区域7例,前区域3例,中央2区域1例,中央下区域+胆管切除3例)であった.全症例で胃管は3日以内に抜去されていた.DGEはL群に6例認めたが,R群とC群には認めなかった.DGEの6例は,3例が左葉切除で3例が拡大左葉+胆管切除であった.DGE6例中4例は術後9,10,13,18日目に食事摂取が可能となったが,拡大左葉+胆管切除の2例は十分な食事摂取可能となるまで約100日を要し,1例は再手術を要した.再手術を要した症例を提示する.
考察;我々の調査でDGEはL群に認められた.これは過去の報告と同様であり,胃と肝切離面が癒着することが原因の一つと考えられる.少数例の検討であるが,L群の胆管切除例が全てDGEを生じうち2例は難治性であったことは,胆管切除にともなう肝十二指腸間膜郭清も関与している可能性がある.しかし,R群とC群で胆管切除の併施はDGEを生じなかったことから,胆管切除にともなう肝十二指腸間膜郭清だけではDGEの原因にはならない.左側肝切除に胆管切除が加わると,胃の変位に加えて何らかの別の要因でよりDGEは起きやすくなると考えられた.
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